本日の焼酎レポートは、熊本県人吉市にある福田酒造の球磨焼酎「はなてばこ」です。名前のとおりの華やかな香りが魅力の焼酎。詳しく紹介していきましょう。
1.銘柄の情報
球磨焼酎を造る人吉球磨エリアの玄関口、人吉市にある福田酒造が手掛ける代表的な焼酎「はなてばこ」。
人吉地方の郷土工芸品として「花手箱」という木製の化粧箱があり、その名前を焼酎の銘柄名として付けた郷土愛溢れる一品と言えます。焼酎の箱パッケージやボトルのラベルに描かれた椿も「花手箱」を由来としたものです。
箱パッケージには「モンドセレクション受賞」と書かれています。金賞でしょうか。この賞の実態を知る人からすれば「ああ、あの胡散臭い」と思うかもしれませんが、あなどること無かれ。見せかけだけでなく中身のしっかりした焼酎に意外さを感じられる嬉しい一品です。
この焼酎の特徴は「五年熟成焼酎混和」と箱に書かれている点でしょうか。長期熟成させた焼酎と短期熟成させた焼酎をブレンドして味を整えた焼酎なわけですが、こういった手法はいわゆるブレンダーのように舌のバランス感覚が研ぎ澄まされた杜氏がいるゆえにできるもののように思います。出来たとこ勝負ではなく理想の味にして出す、というのがいいですね。
2.気になる味は
まず香り。例えは悪いですが、アルコールランプやプラモデル塗装を思わせるアルコールの香りが強めに漂ってきます。キレのある鋭くて綺麗な香り。
椿のパッケージとラベルを見た後にこの香りに出会う、というのがいい演出になっています。花のかぐわしさを感じさせる優雅さ、飲む前から楽しめる焼酎です。
香りがキレッキレなのに対して、味わいは意外にも濃厚。アルコールのシャープさは飲んでみるとあまり強く出ず、お米を溶かしたような米由来の味わいが豊かに出ます。しっかりとしたコクが口の中の上半分を占めていく感覚で、蒸した米のようなふっくらとしたタイプのコクを感じさせてくれます。
その一方で、甘さよりも苦さに近い味わいが舌を覆っていくような印象もあります。
ゆったり味わうと鼻から抜けきらずに鼻の中に溜まって長く味わいを堪能でき、水割りでサッと飲んでみるとほのかに感じられるコクとラムネのような爽やかさも。
この焼酎は減圧蒸留でしょうか。減圧を熟成させるのはセオリーとはちょっと異なるのかもしれませんが、アルコールの刺激がうまく丸まっている点は熟成の効果と言えるような気がします。結構オススメできる焼酎です。
商品名称 | はなてばこ | 原材料名 | 米、米麹 |
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商品分類 | 本格焼酎 米焼酎 | 蒸留方式 | ? |
酒造名称 | 福田酒造 | 度数 | 25% |
酒造所在 | 熊本県人吉市西間下町 | 容量 | 720ml |