かつて移動手段の花形だったSL蒸気機関車。今でも全国で走行しており、観光列車として乗車して車窓を楽しむことができるのです。
通常の乗車券に加えて500~800円くらいの座席指定券を購入するだけで乗れる手軽さも魅力。
せっかく羽を伸ばしてゆったりできる旅行。速くて便利な移動手段だけでなく、風情のあるSL蒸気機関車でゆったり移動も良いものです。
今回は、全国各地で定期運行しているSL蒸気機関車を紹介していきます。
目次
北海道のSL蒸気機関車
北海道新幹線の開業準備優先のために、2014年末を最後にSLニセコ号、SL函館大沼号などが一気に廃止。現在は道東で冬期のみSL冬の湿原号に乗車できます。
01.SL冬の湿原号(北海道 JR釧網本線)
豪雪時に除雪用のスカートで雪をかきわけて走行する姿が力強い、雪の釧路湿原を走るC11。
壁や木枠のニス塗りでレトロ感が出た社内。カフェ車両も有しており、弁当販売もあります。
地元ガイドによる無料のネイチャーガイドや、客車に設置されているダルマストーブで炙るスルメも名物です。
JR北海道 列車ガイド
[区間] 釧路駅-標茶駅 片道48.1km
[時間] 片道 約1時間30分
[料金] 大人 乗車1,070円+指定席820円
[日付] 2月頃に延べ20日程 1日1往復
東北地方のSL蒸気機関車
東北のSLは客車も凝っているのが特徴で、観光にピッタリです。
02.SL銀河(岩手県 JR釜石線)
出典 http://rail.hobidas.com/rmn/archives/2016/04/jr_2128.html
釜石線沿線を舞台に描かれた、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」をテーマとしてプロデュースされた「SL銀河」。
大正昭和の世界観で作られた車内空間が綺麗で、東北ゆかりの品々などの展示がある宮沢賢治ギャラリーも魅力。
世界初の光学式プラネタリウム搭載列車が目玉。めがね橋の愛称で親しまれている「宮守川橋梁」を走るC58の勇姿は撮影スポットとしても有名。
JR東日本 SL銀河
[区間] 花巻駅-釜石駅 片道90.2km
[時間] 約4時間30分
[料金] 大人 乗車1,660円+指定席820円
[日付] 5~8月の土日など 2日で1往復
03.SLばんえつ物語号(新潟県~福島県 JR磐越西線)
かつて「貴婦人」の名で親しまれたC57を先頭に、木目調の大正レトロな客車7両を牽引して走る「SLばんえつ物語号」。
豊かな森と水に育まれた自然と人が触れ合う「物語」をテーマに、展望用車両「グリーン車両」から見る緑豊かな景色が魅力。338名乗車の全車指定席。
オコジョをイメージキャラクターにしており、オコジョ展望車両は子どもに人気です。
JR東日本 SLばんえつ物語号
[区間] 新潟駅-会津若松駅 片道126.2km
[時間] 約4時間
[料金] 大人 乗車券2,270円+指定券520円
[日付] 4~9月の土日祝 1日1往復
関東地方のSL蒸気機関車
関東のSLは歴史がある一方で、客車のこだわりのアピールがあまりなされていない印象。目的地での観光とセットにして楽しむ方向で宣伝されている傾向にあります。
04.SLみなかみ(群馬県 JR上越線)
出典 http://rail.hobidas.com/guide2/archives/2014/03/post_509.html
SLの中でもダントツの人気を誇るD51(デゴイチ)をメインとして、C61も用いられる「SLみなかみ」。
かつては、上野-高崎間の電気機関車牽引と高崎-水上間の蒸気機関車牽引を合わせた「EL&SL奥利根号」として1989年から運行されていた歴史ある車両。
諸事情により2009年からは高崎-水上間で「SLみなかみ」として運行されています。
JR東日本 高崎支社観光列車
[区間] 高崎駅-水上駅 片道59.1km
[時間] 約1時間53分~2時間7分
[料金] 片道大人 乗車970円+指定席520円
[日付] 3~9月の土日祝の一部 1日1往復
05.SLレトロ碓氷(群馬県 JR信越本線)
出典 https://blogs.yahoo.co.jp/nikon_nikon_mizu/31661592.html
SLみなかみでも用いられているD51とC61は「SLレトロ碓氷」「SLぐんま」としてJR信越本線を走る日もあります。
行きと帰りの1往復ですが、SL(蒸気機関車)とDL(電気機関車)のどちらかが半々で用いられるため、SLとして走る日時をしっかり調べる必要があります。
JR東日本 高崎支社観光列車
[区間] 高崎駅-横川駅 片道29.7km
[時間] 約1時間2分~1時間3分
[料金] 片道大人 乗車500円+指定席520円
[日付] 3~9月の土日祝の一部 1日1往復
06.SLもおか号(栃木県 真岡鐵道)
出典 http://rail.hobidas.com/rmn/archives/2010/04/sl_3.html
日本初のローカル線として明治45年に誕生した真岡鉄道。
春はサクラと菜の花、夏は緑、秋は紅葉、冬はハロウィンやクリスマスのイベント運行と通年楽しめて、SLフェスタなどイベントも豊富。
現役走行のSLが2台あり、時期限定でC11とC12を連結した重連走行が行われることもあります。
真岡鐵道
[区間] 下館駅-茂木駅 片道41.9km
[時間] 約1時間30分
[料金] 大人 乗車1,030円+SL整理券500円
[日付] 通年の土日祝 1日1往復
07.SL大樹(栃木県 東武鉄道)
出典 http://www.tobu.co.jp/sl/trip/photospot/
JR北海道から譲り受けたSL「C11-207」をメインに、JRで使用していた客車を用いた東武鉄道のSL大樹(たいじゅ)。
昭和レトロ感のある拠点として生まれ変わった下今市駅には、ギャラリーを構えたSL展示館やSLを間近で見学できる転車台広場が整備されています。
東武鉄道 SL大樹専用ページ
[区間] 下今市駅-鬼怒川温泉駅 片道12.4km
[時間] 約33分~36分
[料金] 大人 乗車250円+SL座席指定券750円
[日付] 通年の土日祝+α 1日3往復
08.パレオエクスプレス(埼玉県 秩父鉄道)
出典 http://rail.hobidas.com/rmn/archives/2012/06/sl2000.html
昭和47年に現役引退したC58を、昭和63年のさいたま博覧会に向けて復活させた「パレオエクスプレス」。
笑点に出ている秩父出身で有名な人気落語家「林家たい平」師匠による車内放送アナウンスが流れて、秩父鉄道沿線の見どころが紹介される点が魅力。
秩父地方に約2千万年前に生息していた海獣パレオパラドキシアが名前の由来。国鉄時代のシンプルな内装の12系客車は、平成24年に内外装リニューアル実施されて綺麗。
秩父鉄道 パレオエクスプレス
[区間] 熊谷駅-三峰口駅 片道56.8km
[時間] 約2時間40分
[料金] 大人 乗車950円+SL指定席720円(or SL自由席510円)
[日付] 4~11月の土日など 1日1往復
【その他】 日帰り往復利用であれば秩父路遊々フリーきっぷ(大人1,440円)がおトク
中部関西地方のSL蒸気機関車
09.かわね路号(静岡県 大井川鐡道)
出典 http://rail.hobidas.com/rmn/archives/2011/10/slel_1.html
昭和10年代に製造されたSLを4台有しており、年間300日以上運行しているSLの最大手「大井川鐡道」。
昭和の雰囲気が残る内装、大井川に沿った渓谷ルートの風景。終点の千頭からは井川線(南アルプスあぷとライン)に乗り換えて、さらに山の奥へと行くことができる観光地です。
車掌さんが車窓の見どころ、SL解説、ハーモニカ演奏を行い、お弁当や菓子の車内販売もあります。
大井川鐡道 SL
[区間] 新金谷駅-千頭駅 片道37.2km
[時間] 約1時間15分
[料金] 大人 乗車1,720円+指定席800円
[日付] 通年(年間300日超)1日1~3往復
10.機関車トーマス号(静岡県 大井川鐡道)
出典 http://rail.hobidas.com/rmn/archives/2014/07/post_1205.html
通常のSLだけでなく、機関車トーマスも走る大井川鐡道。
2014年から登場した、トーマス号(ジェームス号の日もあり)。千頭駅ではヒロ、パーシーが待っており、3台が並ぶ姿を見ることもできます。
通常のSLと同じくメールや電話で予約できますが、トーマス号は本数が少なくて人気のため予約が埋まりやすいです。
大井川鐡道 トーマス号
[区間] 新金谷駅-千頭駅 片道37.2km
[時間] 約1時間15分
[料金] 乗車1,720円+指定席800円
[日付] 6~10月の土日+α(年間70日前後)1日1~2往復
中国四国地方のSL蒸気機関車
11.SLやまぐち号(山口県 JR山口線)
昭和48年に国鉄合理化で一時廃止になるも、地元の要望で昭和54年に「やまぐち号」として復活した歴史あるSL。
山陽と山陰を結ぶ山口線を走行し、津和野で出迎える観光客も。
貴婦人ことC57が牽引する5両の「レトロ客車」は、1両ずつ内装を各時代の客車を模しており、展望、欧風、明治、大正、昭和の雰囲気を楽しめます。
SLやまぐち号
[区間] 新山口駅-津和野駅 片道62.9km
[時間] 約2時間10分
[料金] 乗車1,140円+指定席520円
[日付] 3~11月の土日祝など 1日1往復
九州地方のSL蒸気機関車
12.SL人吉(熊本県 JR鹿児島本線~JR肥薩線)
1988~2005年に運行していた「SLあそBOY」「SL人吉号」が故障で廃止となったものの、肥薩線開業100周年の2009年に復活した「SL人吉」。
他のSLとは一線を画す、国鉄8620形の蒸気機関車58654。
観光列車のデザインを多く手掛ける水戸岡鋭治氏によるデザインのリニューアル工事が行われており、アンティーク調の高級感溢れる展望ラウンジ、ビュッフェが綺麗。
JR九州 SL人吉
[区間] 熊本駅-人吉駅 片道87.5km
[時間] 約2時間30分
[料金] 乗車1,820円+指定席820円
[日付] 3~11月の金土日祝など
補足:時期限定で年に数回のみ運行するSL
滋賀県
・不定期運行 SL北びわこ号(JR北陸本線)
補足:かつて走行していたSL
北海道
・2006年終了 SLすずらん号(JR留萌本線)
・2014年終了 SLニセコ号(JR函館本線)
・2014年終了 SL函館大沼号(JR函館本線)
・2014年終了 SLはこだてクリスマスファンタジー号(JR函館本線)
まとめ
通常の乗車券に一般的な指定席料金をプラスするだけで乗れてしまうので、意外に安いもの。
鉄道も単なる移動手段としてではなく、ゆったりとした計画でSLや観光列車に乗ってみてはいかがでしょうか。