辛子明太子やもつ鍋など博多のグルメに、ゴマサバや北九州のぬか炊きなど魚料理も豊富な福岡県。
九州とんこつラーメンの文化も奥深く、久留米ラーメンを源流として博多長浜ラーメンや筑豊ラーメンなど多彩。ちゃんぽん、焼きラーメンなどの麺料理もあります。
今回は福岡県の旅行者に向けて、福岡県の飲食店で楽しめるご当地グルメを紹介します。
セシモ コイ
福岡県のグルメ分布図
福岡県のグルメはこんなに豊富!番号順に紹介していきます。
A.福岡県全域のグルメ
まずは、県全域で楽しめるグルメを紹介します。
01.辛子明太子(県全域)
スケトウダラの卵巣(たらこ)を唐辛子などで漬け込んだもの。博多を中心に販売されていますが、メーカーは各地に存在します。
釜山から連絡船で下関に輸入していた「明卵漬」をもとに日本人向けに作られたのが由来で、山陽新幹線の開通で全国的に広がりました。
そのまま食べるだけでなく軽く焼いてから食べる方法もあり、ご飯のお供にも。おにぎりの具、スパゲッティ、など多彩に用いられます。
02.鯖の刺身、ごまサバ(県全域)
鯖(さば)は傷みやすいことから全国的には生や刺身で食べることはない中、新鮮な魚介が揚がる博多など福岡県では刺身で食べる文化が江戸時代後期頃から存在しています。
その中で、生の鯖を食べる独特な郷土料理として「博多の胡麻鯖(ごまさば)」があり、通常より薄めにスライスした鯖を醤油、いりゴマ、みりんを加えて和えたものです。
おろししょうが、わさび、もみ海苔、青ネギなどを加えて食べるほか、白ご飯に乗せてお茶漬け風に食べるのも定番。食中毒対策として鯖は一度冷凍するのが一般的です。
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[店分布] 県内に数百店舗ほど
[推奨店] 居食家あらい 甘木店 – 九州料理が多くごまサバもあり
03.鉄鍋餃子(県全域)
皿の形をした鉄製の小鍋で餃子を焼いて、小鍋のまま提供する鉄鍋(てつなべ)餃子。「鉄なべ」の表記も多く、餃子を焼いたときの水分で生成される羽根が付くのも定番です。
八幡製鉄所で有名な北九州市の八幡(やはた)地区が発祥で、鉄鉱石などの原料取引が盛んだった地で1958年に開業した「やまとぎょうざ鉄なべ」が鉄鍋餃子の発祥店とされます。
工業都市の八幡で肉体労働者がスタミナを付ける料理として好まれた餃子で、現在は北九州市で鉄鍋での提供店は減って普通に皿盛りする「八幡餃子」として提供店が多いです。
現在では博多の居酒屋など鉄鍋餃子を取り入れる店が増加し、福岡市博多区を筆頭に県全域で鉄鍋餃子の提供店が存在します。ラーメンスープで餃子を焼く店など、こだわりの味付けも。
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[店分布] 福岡市に百店舗以上、県全域にも数十店舗
[推奨店] 一蘭 本社総本店 – 本店1階居酒屋で鉄鍋餃子あり
B.福岡(県西)地域のグルメ
博多天神・太宰府天満宮・香椎宮のある福岡地域(福岡市・糸島・筑紫野・春日・大野城・太宰府・那珂川・宗像・古賀・福津・糟屋・朝倉)のご当地グルメを紹介。
04.博多ラーメン(福岡市)
豚骨を徹底して煮立てることで白濁した甘めなスープができる、豚骨ラーメン。
長浜ラーメンと混同して語られがちですが、歴史としては明治時代から水炊きの鍋に〆の中華麺を入れていたものを単独化したのが由来。
かつて醤油ベースだったものに久留米ラーメンの文化が入って豚骨主流になって今に至ります。
05.豚骨ワンタン麺(福岡市)
ワンタン麺の発祥の地とされる博多。
ワンタン麺というと醤油スープの中華そばが一般的ですが、博多ではとんこつラーメンにワンタンが乗るものとして提供されることが多いです。
06.焼きラーメン(福岡市)
茹でたラーメンの麺を用いて、水気の少ない豚骨スープに特製ソースを加えて絡めた料理。
暑い時期にスープを飲まずにとんこつラーメンを楽しむために、博多天神の屋台「小金ちゃん」が考案したとされています。
現在では全国的なメーカーによる商品や、他県でも幾つか名物として登場してきています。
07.もつ鍋(福岡市)
もつと呼ばれる牛ホルモンをメインとして、沢山のキャベツとニラを煮込んだ、唐辛子とニンニクが効いた醤油ベースの鍋。
もともと牛の余り部位として捨てられていたホルモン(放り物)を、掃除道具のちりとりやアルミ鍋で煮て作ったのが由来。
脂が豊富なモツですが低カロリーで、ビタミンやコラーゲンを多く含むことで美容と健康にもピッタリの鍋として人気。〆はちゃんぽん麺が定番。
08.水炊き(福岡市)
白濁した鶏ガラスープに鶏のぶつ切り肉と野菜などを煮込んだ鍋料理。
博多祇園山笠を取り仕切る男性の精をつける鍋として定番で、櫛田神社の神事として四つ足の動物を避けて鶏肉を使用したというのが有力な説。
一般的には白菜を使用するもので、こちらも〆としてちゃんぽんで使用する太麺「ちゃんぽん麺」を投入して食べるのが定番です。
09.牡蠣(糸島市)
糸島の名物と言えば、港に乱立するカキ小屋。ビニールハウスの建物内で、牡蠣と肉、魚、お酒のバーベキューで賑わいます。
10月中旬から始まって冬場がメイン。取れたての牡蠣は漁師直営の牡蠣小屋30店舗ほどに加えて、個人店の牡蠣小屋にも並びます。
10.焦がし料理(古賀市)
食品系の工場が多くてアウトレットも開催される古賀市(こがし)。その名前にちなみ「焦がし商品」として料理やデザートに炙りを入れたグルメを展開。
炙りチャーシューやバター醤油丼などの食事系から緑茶紅茶やコーヒーなど、様々なものを火で焦がしや炙りを入れた味覚を楽しめます。
とりわけスイーツに力が入っており、プリン、ブリュレ、チーズケーキ、ソフトクリームにカラメルソースを含めて焦がしを入れて一段上のデザートに。
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[店分布] 市内に約26商品(飲食店提供もあり)
[推奨店] 古民家こんさい館 – 焦がしクッキーや緑茶があるお蕎麦カフェ
11.豆腐料理(糟屋郡)
世界一のブロンズ製の涅槃像(寝姿の仏像)で有名な、城戸南蔵院駅前の南蔵院。
精進料理として重宝する、豆腐。八木山のふもとにある「地蔵どうふ」を筆頭に、豆腐と湯葉料理を楽しめるお店もあります。
九州産の大豆「ふくゆたか」を使用した製品もあるなど、地元らしさのある豆腐を楽しめます。
12.梅ヶ枝餅(太宰府市)
福岡県の代表的な神社「大宰府天満宮」の門前町には、梅ヶ枝(うめがえ)餅という焼き餅が参拝客の銘菓として親しまれています。
小豆餡を薄い餅の生地でくるみ、梅の刻印が入った鉄板で焼くもの。大宰府の各店で広く作られており、参拝時に焼きたてを購入してその場で食べることができます。
13.二日市カレー(筑紫野市)
筑紫野市に属する二日市エリアは二日市温泉もある市街地ですが、実はカレー激戦区でもあります。特にJR二日市駅や西鉄二日市駅の付近には、カレー店が多くて新たな出店も続くエリア。
創作系カレーからインドネパールカレーまで多彩で、野菜トッピングが売りの小林カレー、コクのあるルーのころしのカレー、2種3種盛りのスパイス感あるサムカリーなど
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[店分布] 二日市駅付近に十数店舗
[推奨店] サムカリー – バーの雰囲気で2種3種選べる創作系カレー
14.筑前朝倉蒸し雑煮(朝倉市)
長崎から福岡藩を経て朝倉地域の秋月藩に伝わった茶碗蒸しをもとに、お雑煮の具材を入れた茶碗蒸し「蒸し雑煮」を正月に作る文化が定着。
今でも朝倉地域の各家庭で作る「蒸し雑煮」は正月料理のため、通年楽しめるように朝倉観光協会を中心にご当地グルメ化したのが「筑前朝倉蒸し雑煮」です。
ダシの出る椎茸、鶏肉、するめ、切昆布などを下地の具材として使用。かまぼこ、小エビ、ぎんなん、三つ葉なども定番具材で、蒸すことにより卵ダシの旨みが凝縮します。
餅を入れるのも特徴のひとつで、蒸された餅はつきたてのような柔らかさに。旅館の夕食で要予約のところも多い一方、食事処で蒸し雑煮メインの提供店もあります。
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[店分布] 市内に16店舗ほど(要予約店多め)
[推奨店] なかにし – ランチにボリューム大の蒸し雑煮
15.川茸(朝倉市)
現在では朝倉市の黄金川にのみ自生する、天然の淡水海苔。スイゼンジノリとも呼ばれます。
1763年頃から食材として用いられていた珍味で、将軍への献上品としても用いられていたのだとか。
つるんとした独特の食感で、無味に近い味わい。現在では絶滅危惧種として様々な取り組みを行って維持している食材です。
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[店分布] 市内に数店舗
[推奨店] 黒門茶屋 – 桜の馬場通りで蕎麦や甘味のある和の食事処
C.北九州(県北)地域のグルメ
小倉城・門司港レトロ・スペースワールドのある北九州地域(北九州市・中間・遠賀・行橋・豊前・京都郡・築上)のご当地グルメを紹介。
16.小倉牛(北九州市)
小倉南区の自然に抱かれて丹念に育てられた、黒毛和牛の「小倉牛」。平尾台のカルスト台地をはじめとする、緩やかな丘陵地帯にて育った牛です。
生後8~10ヶ月から約20ヶ月間にわたり丹念に育てられて、一頭ずつ飼料や健康管理を実施。中でも厳しい肉質検査を経て厳選したものだけが「小倉牛」ブランドとして流通します。
鮮やかな霜降りに美しい色ツヤを持ち、旨みたっぷりの肉汁と舌の上でとろける柔らかさ。きめ細やかな絶妙な感触を持つ、地元ならではの最高級黒毛和牛です。
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[店分布] 北九州市に数十店舗
[推奨店] 肉処 天穂 – 小倉牛壺漬けカルビのある焼肉店
17.小倉発祥焼きうどん(北九州市)
北九州市の小倉(こくら)が発祥地とされている、焼きうどん。昭和20年頃に小倉北区「だるま堂」の店主が、焼きそばの麺が無かった日に干しうどんで代替したのが由来とか。
そのように発祥した焼きうどんを、北九州市の宿泊者向けに提供できる気軽なグルメとして「小倉発祥焼きうどん」としてB級グルメ化。
現在、公式に「小倉発祥焼きうどん」を名乗る条件として、若松産キャベツに豚バラ肉とタマネギを使用した具材に乾麺を使用するなどが定義されています。
小倉を中心に北九州市で提供店が広がって今に至る、ソース焼きうどんです。
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[店分布] 北九州市45店舗(小倉北区35店と他区10店)ほど
[推奨店] きつね – 定食やカレーとともに焼きうどんを楽しめる店
18.焼きカレー(北九州市)
グラタン皿にご飯を敷いて上からカレーをかけてチーズを乗せて、オーブンで焼いた一品。
昔ながらの建築物が多く残る門司港は「門司港レトロ」と呼ばれ、昔ながらの洋食らしさを持たせた「焼きカレー」が名物となっています。
19.バナナスイーツ(北九州市)
バナナ叩き売り発祥の地、門司。現在でもイベント時に叩き売り実演が行われることもあります。
バナナを用いたデザートや飲み物を扱うお店もあり、現在では閉店したとされる「とらや」のバナナフリッターなど観光雑誌にも載る名物です。
20.八幡ぎょうざ(北九州市)
1901年に八幡製鉄所が誕生して工業都市化し、現在は北九州市に属する八幡地区。肉体労働者がスタミナを付ける料理として餃子が好まれ、今も餃子の提供店が多いエリアです。
ご当地グルメ「八幡ぎょうざ」として提供店マップをまとめ、B級グルメとして展開。鉄なべ系、中国本土系、ラーメン系、お母さん系の4系統に分類されています。
1958年に八幡の折尾で発祥した鉄鍋餃子を扱う店や、ラーメンの豚骨スープで餃子を焼き上げるラーメン系餃子の店など様々な味を楽しめます。
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[店分布] 北九州市内に50店舗以上
[推奨店] ママの餃子 – 地元馴染みの居酒屋で餃子など
21.戸畑ちゃんぽん(北九州市)
長崎県を中心として九州北部で提供される、豚骨系スープに炒め野菜がたっぷり乗った「ちゃんぽん」。その中でも戸畑区にある「戸畑ちゃんぽん」は細麺を使用するのが特徴。
戸畑が日本一の遠洋漁業基地だった約80年前に、長期保存が可能な麺として細くてコシのある蒸し麺を製作。茹で上がりが早く、忙しい製鉄の従業員にも好まれる麺に。
北九州市の中でも戸畑区にある中華料理店や大衆食堂などで提供されており、昔ながらの店で細麺が合う野菜たっぷりのちゃんぽん。スープ無しの焼きちゃんぽんを提供する店も。
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[店分布] 市内に9店舗ほど
[推奨店] 共栄軒 – 中細麺のちゃんぽんとラーメン
22.ぬか炊き(北九州市)
一般的に野菜を漬け込む「ぬか漬け」として使われる「ぬか床」ですが、小倉ではぬか床を調味料として青魚を煮る「ぬか炊き」が保存食として親しまれている郷土料理です。
魚はサバとイワシを主に使用。醤油、みりん、砂糖などを加えた煮汁で魚を似て、米ぬか、昆布ダシ、山椒の実、唐辛子などで作るぬか床を加えて炊いていきます。
調理の過程で魚の臭みが抜けて、ぬか床の旨みが染み込んでいき味わい深い煮魚に。家庭で作られるほか専門店で販売されているお土産、そして飲食店でも楽しむことができます。
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[店分布] 市内に数十店舗ほど
[推奨店] たちばな – ぬかだきを定食やお土産購入で
23.クロワッサン(北九州市)
北九州の港町「若松」には海沿いの道路に古い建物が幾つかあり、旧石炭会館の建物1階に店を構えるのがクロワッサンの名店「三日月屋」。
10種類ほどある色々な味の天然酵母クロワッサンが袋詰めされており、大量に買い込むお客さんも多数いる人気ぶり。
福岡空港にも販売店を構えるようになった、若松の顔とも言えるお店です。
24.豊前オニメン(豊前市)
豊前(ぶぜん)市の名産「豊前とうがらし」を使用し、鬼を連想する赤色に仕上げて鶏肉を具材に使用した汁無しの麺料理。
豊前神楽の赤い鬼面を名前の由来にしたご当地グルメで、鉄板焼き屋、うどん店、寿司屋、カフェなど様々な市内飲食店が各店オリジナルの麺料理を提供しています。
各店で辛さのランクが定められており、店によっては辛さを選べるところもあります。
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[店分布] 市内に21店舗ほど
[推奨店] あっちゃん亭 – 屋台村で麺料理にオニメンもあり
D.筑豊(県東)地域のグルメ
伊藤伝右衛門邸・嘉穂劇場・石炭記念館のある筑豊地域(直方・宮若・鞍手・飯塚・嘉麻・嘉穂・田川)のご当地グルメを紹介。
25.焼きスパ(直方市)
1980年代に直方商店街の喫茶店「夕やけ」で若者に人気だったメニュー。
現在は閉店してしまった「夕やけ」の味ですが、直方のB級グルメとして2010年に復刻して直方市内の各種飲食店で提供開始。
パスタ麺、キャベツ、玉ねぎ、豚肉を使用し、トマトケチャップを使用したソースを用いて焼くのが公式店の条件。
ナポリタン風が「夕やけ」の味ですが、フレンチ風など創作系の焼きスパを出すお店もあります。
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[店分布] 市内に28店舗ほど
[推奨店] スマイル – シンプルに食べられる商店街の焼きスパ
26.ホルモン鍋(田川市)
ニンニクだれで味付けしたホルモンにキャベツなどの野菜を入れて煮込む「もつ鍋」風で、焼肉屋で提供されることが多い田川のホルモン鍋。
中央部がくぼんだ鉄板型の鍋を用いますが、これは炭鉱のスコップを用いたのが由来だとか。
一方で、鍋の代わりに紙製のセメント袋を七輪に乗せて焼いたのが由来とも言われます。
27.炭たこ焼き、石炭ソフト(筑豊全域)
田川や飯塚などで歴史を持つ炭鉱の石炭をイメージした、黒い見た目のたこ焼きとソフトクリーム。黒色は竹炭を利用しており、食べると健康に良いと言われる安全なものです。
筑豊エリアの道の駅で扱っていることが多く、炭たこ焼きは香春町「元祖炭たこ」、糸田町と香春町の「バニーズ」にあり、炭ソフトは「バニーズ」や大任町「神たこ」などにあります。
また、筑豊エリアでは香春町「ドライブインかわら」のケチャップたこ焼き、飯塚市「味覚焼」でタコの入っていないたこ焼きも。青ネギをたっぷり乗せるたこ焼きの店も多いです。
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[店分布] 筑豊エリアに数店舗
[推奨店] バニーズ糸田店 – 道の駅で黒いたこ焼きとソフト
28.飯塚伝説ホルモン(飯塚市)
炭鉱の町として古くからスタミナが付くことで愛されてきたホルモン。
そのホルモン料理を新たな伝説として広めるために「飯塚伝説ホルモン促進会」を結成してB級グルメ化。
丼、麺、鍋などスタイルは自由で、加盟店それぞれで独自のホルモン料理を楽しめます。
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[店分布] 市内に13店舗ほど
[推奨店] 焼肉のMr.青木 – 焼肉に加えてホルモン丼も楽しめる店
29.飯塚銘菓(飯塚市)
お菓子の名店の本店が多い街、飯塚。
チロリアンや千鳥饅頭で有名な「千鳥饅頭」、福岡県の洋風銘菓として名高い南蛮往来の「さかえ屋」は全国的に有名。
そして、旧東京オリンピックで東京名物と言われ出した銘菓ひよこは、もともと飯塚の「ひよこ本舗吉野堂」の商品として福岡県名物です。
E.筑後(県南)地域のグルメ
柳川川下り・八女茶製茶園・三池炭鉱のある筑後地域(八女・筑後・久留米・大川・小郡・うきは・三井・三潴・大牟田・柳川・みやま)のご当地グルメを紹介。
30.八女茶スイーツ(八女市)
九州でお茶の産地として名高い八女(やめ)。八女市と八女郡を中心に、筑後市、広川町、うきは市、朝倉市と広く栽培されているお茶が「八女茶」と呼ばれます。
日中が温かく夜に冷え込み雨が多い気候が茶の栽培に向いており、高級茶の産地に。
茶葉や抹茶菓子の購入に加えて、現地のカフェやパティスリーで楽しめる八女茶スイーツとしてソフトクリーム、バームクーヘン、チーズケーキなど抹茶の甘味が多数あります。
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[店分布] 八女エリア広域に数十店舗
[推奨店] 茶の葉堂 – 茶屋カフェで抹茶のソフトやドリンク
31.久留米ラーメン(久留米市)
九州の多くの県へ影響を与えた豚骨ラーメンのルーツと言われ、白濁した豚骨ラーメンの発祥地とされる久留米。
屋台「三九」が誤って豚骨を強く炊きすぎて白濁してしまったスープが美味しくてお客さんに出し始めたのが登場の由来とされています。
博多ラーメンよりも強く煮込んだ濃厚なスープが特徴。
32.久留米やきとり(久留米市)
1963年に屋台で出されたのが始まりとされる、久留米やきとり。
昔は鶏肉が手に入らず豚バラやダルム(牛、豚、馬の腸)しか出せず、それが今ではダルムが久留米やきとりの定番となる部位です。
現在は鶏を含めて種類豊富な部位が楽しめて、店も増えて2003年に「焼きとり日本一」を宣言したことでイベントが開催される規模に。
33.鴨料理(小郡市)
小郡市の三国地区は鴨(かも)の飛来地として知られています。文献によると江戸時代には有馬藩の狩猟が行われて、昭和には庶民も鴨を食べる文化が根付いていたとされます。
10月末になると北国から渡ってきた鴨が休息と餌場を求めて、小郡の農業用ため池に降りてきます。カモトヤ(見張り小屋)と手網の捕獲という江戸時代の手法が今も冬に行われています。
古くから老舗料亭「さとう別荘」で庭を眺めながら鴨料理を楽しめて、小郡市制施行50周年を機に「鴨のまちプロジェクト」として提供店や調理法の拡大などを開始。
店によって天然鴨ではなく合鴨を使用するところもありますが、ロースト、たたき、炭火焼き、ピザ、フレンチ式など色々な食べ方で楽しめます。
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[店分布] 小郡市で天然鴨3店舗と合鴨8店舗ほど
[推奨店] 山と串とワイン – ミンチ肉飯に鴨を乗せた丼
34.洋風かつ丼(大牟田市)
白いご飯の上にカツを乗せて、とろみある各店独自の洋風ソースをかけたものをフォークで食べるかつ丼。基本は豚ロースカツで、チキンカツやビーフカツを使用するお店も。
添える食材も店によりますが、キュウリとトマトを中心とした野菜類にスパゲッティを軽く添えて洋食器で提供。カツの上にグリーンピースをまぶすお店も多いです。
大牟田の中心街にかつて存在した「松屋デパート」で、長らく市民に親しまれた「洋風かつ丼」を再現。当時の味を再現したものから、アレンジを加えたものまで様々です。
昭和12年に開業して戦後の焼け野原でも残った百貨店「松屋デパート」は、平成16年に閉店。馴染みの味だけでも復刻するため、平成26年に市内各店で提供を開始したものです。
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[店分布] 市内に約14店舗
[推奨店] ロータリー – 昭和50年から続くデミグラスソースを活用したカツ丼
35.鰻せいろ蒸し(柳川市、大川市)
かつて天然のうなぎの漁場があった柳川市。うなぎを「せいろ蒸し」にして食べる文化があり、今も柳川舟下りとともに観光名物となっている郷土料理です。
せいろは赤い漆塗りの外箱に囲まれた内側の木箱で、蒸気を通すことができます。タレを絡めたご飯をせいろで蒸して、うなぎの蒲焼と錦糸玉子を乗せてから再度蒸して提供します。
蒸すことでうなぎの香ばしさが引き立ち、中の身はふわふわに。うなぎの旨みがご飯に染みて、より美味しくなる調理法です。
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[店分布] 柳川市と大川市に数十店舗
[推奨店] 古蓮 – 西鉄柳川駅前でせいろ蒸しと柳川鍋も
36.どじょう柳川鍋(柳川市、大川市)
ささがきゴボウを敷いた土鍋にドジョウを入れて、みりんと醤油を使用したタレ(割り下)と溶き卵を入れて煮込んだ鍋料理。卵を入れない場合は「どじょう鍋」と呼ばれます。
江戸時代に東京で誕生した料理で、柳川の名前が付いたのは屋号説や柳川焼の鍋説など様々。どじょうの産地となる柳川に伝わり、柳川でも名物として定着しています。
柳川の名物となるうなぎ料理店で柳川鍋も扱う傾向があり、一人用の鍋で作られるのが基本で、単品注文だけでなく定食や和膳の形で食べることができます。
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[店分布] 柳川市と大川市に数十店舗
[推奨店] 皿屋福柳 – うなぎと柳川鍋を楽しめて座敷席あり
F.その他のグルメ
・福岡市「バーボー」はお好み焼きをアイス棒の形にした食べ歩きグルメですが、提供が2店舗ほどしか無い様子。
・糸島市は養豚が盛んで「糸島豚」「玄海ポーク」「伊都の豚」などのブランドを展開。ただ、飲食店での豚肉料理提供情報が不足気味。
・福岡県内のブランド豚肉は「博多すぃ~とん」、筑後地方の耳納山脈で育った「耳納いっーとん」などがあります。
まとめ
「豚骨ラーメン」と「ホルモン」のグルメが多い傾向にありつつも、それ以外のグルメも豊富にある福岡県。
豚骨ラーメンひとつを取っても久留米が発祥で博多や長浜へ伝播し、独自路線の大牟田もあるなど県内で色々な味を楽しめるのが魅力。
ホルモンも山間部の田川ホルモン鍋から港町の博多もつ鍋まで広く親しまれており、久留米のダルムなど焼き鳥でもホルモンを楽しめます。
以上、福岡県全般のご当地グルメ特集でした。