青い空に緑の山々、そして色鮮やかな花が咲き誇る花畑。
国内には楽園とも言える美しい花畑が沢山あることをご存じでしょうか?
彩り豊かな花が一面に広がる光景は、見る人を圧倒する魅力があります。今回は春夏秋冬の季節を追って、花の種類ごとに花畑を紹介していきます。
はじめに、花畑の魅力
花を見るために観光地へ足を運ぶ習慣が無い人って結構多いと思いますが、実はもったいない。
特に一眼レフを持つと雄大な自然の撮影が楽しくなり、彩り豊かな花畑の撮影が俄然面白くなります。開花時期にフォトコンテストを開催している名所も多く、いい天気の日と満開時期を狙うのも楽しいものです。
また、アスレチック系遊具や広場を持つ公園に花畑が整備されていることもあり、子連れの家族に人気。子どもを公園で遊ばせた後に、花を背景にして子どもの記念写真を撮る親御さんも結構見かけます。
写真撮影にハマると面白くなる、観光花畑の分野。撮影した写真を知人に見せると結構反応も良く、話のネタとしてもオススメできます。
春の花 -Spring-
01.菜の花(3~5月頃)
一面に黄色の花を咲かせる陽気な春の代名詞、ナノハナ。
山合いの畑だけでなく海沿いの畑など、様々な場所に存在する菜の花畑。春のお祭りとして菜種油などの製品が販売されることもあります。
埼玉県の権現堂堤など、桜と菜の花が同時に咲き誇る名所を狙うのもオススメです。
【名所】 浜離宮恩賜庭園(東京都)、幸手の権現堂堤公園(埼玉県)、房総フラワーライン(千葉県)、二宮の吾妻山公園(神奈川県)、河口湖の大石公園(山梨県)
02.桜(4月頃)
卒業、入学、お花見シーズンの定番。春の訪れを感じる、ピンク色に染まる桜並木は綺麗なもの。
有名な桜スポットの多くは人工的に植えたソメイヨシノの傾向が高く、綺麗に整備された桜を楽しめます。
その一方で昔からの桜がそのまま残る吉野の千本桜は圧巻で、一面に桜の木が敷かれる山は壮大なものです。
03.芝桜(5月頃)
桜の時期が過ぎた後、ピンクの花の鮮やかさを楽しめるのが芝桜。
緑の芝生状態から次第にピンクの絨毯へと色づいていき、満開時の色濃さのインパクトが素晴らしいもの。
紫色に近いピンクや白の芝桜もあるため、単一の色ではなく色の使い分けによる美しさをうまく写真に収めたいところです。
【名所】 秩父市の羊山公園(埼玉県)、河口湖町の富士芝桜まつり(山梨県)
04.チューリップ(4~5月)
トルコ発祥でオランダにて広がった、球根から育成して花が咲くチューリップ。
国内では富山県の砺波のチューリップが有名ですが、全国的に名所が点在しています。
05.ポピー(3~5月)
ケシ科の花で「ひなげし」とも呼ばれるポピー。
黄色、オレンジ、白、赤、ピンクといった色の花を咲かせる、明るくてカラフルな花。
ひらひらとした花びらで、上を向いて咲くのが特徴です。
06.ネモフィラ(4~5月)
北アメリカ原産の一年草で、芝桜のように低い丈で咲き広がる絨毯が美しい花です。
青いネモフィラが有名ですが、白や黒のネモフィラもあります。
ひたちなか海浜公園のネモフィラが有名ですが、他にも名所があります。
07.藤(5月)
マメ科のつる性植物として、葡萄のように小さい花びらを沢山咲かせる花。
蔦が木に巻き付き、花が長くしだれるのが特徴。木で組み立てた棚を用いて藤棚として観賞する光景が全国的に見受けられます。
紫色の藤が有名ですが、白色の藤もそこそこ見かけます。
夏の花 -Summer-
08.花しょうぶ(6月頃)
梅雨の時期にしっとりと楽しめる、あじさいの花。
水色、青、ピンク、紫などの淡い色をした花たちに落ち着きを感じ、散策路の左右のあじさいを見ながらゆったり歩くのも楽しいものです。
淡い色をした球状の花は、遠近や絞りを活用してボケさせた撮影にも向いています。
09.あじさい(6月頃)
梅雨の時期にしっとりと楽しめる、あじさいの花。
水色、青、ピンク、紫などの淡い色をした花たちに落ち着きを感じ、散策路の左右のあじさいを見ながらゆったり歩くのも楽しいものです。
淡い色をした球状の花は、遠近や絞りを活用してボケさせた撮影にも向いています。
10.ひまわり(7~8月頃)
爽やかな夏の青空に似合うのが、黄色くて大きい花を咲かせるひまわり。
太陽の方向を向いて咲くと言われていますが、遮るものが無い立地で成長しきると東に顔を向けた状態で固定されます。
そのため、花の正面に対して順光となる午前に来訪するのがオススメです。
11.ハス、スイレン(7~8月頃)
インド原産のハス科の植物で、水の上に大きな葉と大きい花を咲かせます。
花托の形状が蜂の巣に似ていることから訛って「ハス」と呼ばれるようになったのが有力な説。
水面ギリギリに咲くのがスイレン、水面や葉より高い位置に咲くのがハスという区別ができます。また、地下茎は蓮根(レンコン)として有名。
12.ユリ(6~8月頃)
ヨーロッパやアメリカを中心に分布しているユリですが、日本では固有種を含めて15種類ほどが存在するとのこと。
種類によって咲く時期が異なり、観光地ではスカシユリが早咲きとして登場します。遅咲きのハイブリッド系(交配系)も存在するので比較的長い期間楽しめる花です。
食用の「ユリ根」を使用した料理を提供する観光地もあります。
13.ラベンダー(6~8月頃)
北海道の富良野を筆頭に、紫色の群生が広がる光景が人気のラベンダー畑。
品種によって見頃が異なりますが、早咲きは6月下旬から遅咲きは8月上旬くらいまで長く楽しめます。
芳香剤などにも利用される花です。
14.ダリア(8~10月頃)
キク科の花として夏から秋を彩る、ダリア。
大きく16種類に分類されるとも言われており、様々な色と形の花がひとつの畑に咲き乱れることから彩り豊かさでは随一と言える花です。
花が大きめで満開時の密集感があるので、撮影としては比較的向いている楽しい花。暑さに弱いため、真夏を避けた少し涼しい時期の方がオススメです。
【写真】 遊園地ぐりんぱ(静岡県)
【名所】 両神山(埼玉県)
15.百日草・ジニア(7~11月頃)
キク科で花の色や咲き方も様々なため、ダリアと比較されることもある花。
直立した茎が特徴のひとつ。名前のとおり100日以上と長く咲いている花ゆえ、長い期間楽しめるのが魅力です。
【写真】 富士花めぐりの里(静岡県)
16.梅花藻(6~9月頃)
キンポウゲ科で水面に1~1.5cmの小さな「梅」のように咲く白い花。
流水に沿って1mほどの「藻」のような草をたなびかせるのが特徴です。
見頃は6~7月ですが夏を中心として比較的長期間見ることができ、一年中花を咲かせる品種もあります。
【名所】 梅花藻の里(静岡県)、治左川(福井県)
17.ベニバナ(6~7月頃)
かつて染料や口紅として用いられていた紅花(べにばな)。
化学染料が普及したことで国内の栽培は衰退し、現在は観光用として山形県や埼玉県など数少ない栽培地で見ることができます。
【名所】 高瀬地区(山形県)、べに花の里(山形県)
秋の花 -Automn-
18.ケイトウ(9~10月頃)
天に向かって尖って咲く花が鶏の頭(トサカ)に似ているため、鶏頭(けいとう)と呼ばれる花。
赤、黄、紫のコントラストが高い色の花で、接近して撮影すると樹林帯のミニチュアのように撮れるのも面白いところです。
写真は羽毛ゲイトウ。国内ではケイトウの花畑は比較的少ない傾向にあります。
【写真】 武蔵丘陵森林公園(埼玉県)
19.コキア
ほうき草とも呼ばれる、見た目は草とも言える花。
黄緑色の球状でモフモフとした姿ですが、秋になると大きくなるとともに紅葉して温かみのある紅色になります。(写真は9月上旬で紅葉しかけの時期)
【名所】 国営ひたち海浜公園(茨城県)
20.キバナコスモス
コスモスよりも少し開花時期が早い傾向のある、黄花(きばな)コスモス。
黄色、オレンジ色の花を咲かせますが、花畑では密集度が低いことが多いため綺麗に撮影するのに苦労します。
【写真】 浜離宮恩賜庭園(東京都)
21.コスモス
ピンクや紫の花を可憐に咲かせる秋の定番の花、コスモス。
キバナコスモスと同様、花畑では密集度が低いことが多いため草の緑の色合いをうまく回避するよう撮影に気を付ける必要があります。
【写真】 浜離宮恩賜庭園(東京都)
【名所】 黒姫高原(長野県)
22.彼岸花
曼珠沙華(まんじゅしゃげ)とも呼ばれる、秋の定番の花。
大きく反り返る赤い花弁と、細長くてピンと伸びる赤い葉は独特で妖しい雰囲気も。日本では忌み嫌う文化もありますが、埼玉県や愛知県では観光として人気の高い花です。
基本は赤ですが、福岡県には珍しい白い彼岸花も存在します。
【名所】 高麗・日高の巾着田(埼玉県)
23.サルビア
秋の風物詩、サルビア。
赤いサルビアが定番ですが、ラベンダーのような色合いが綺麗なブルーサルビアもあります。
写真は森林公園のブルーサルビアで、満開には程遠い時期です。
【名所】 マザー牧場(千葉県)
24.そば(蕎麦)
白い群生の広がる、そばの花。
若干地味ではありますが、葉の緑がほのかにかかった白い絨毯でふんわりとした感じに見えるのが素敵なところ。
赤い花を咲かせる珍しい「赤そば」の名所もあります。
25.米、棚田
秋に黄金色が広がる稲穂が綺麗な田んぼ。どこにでもあるけれど、日本の元風景としておだやかな気持ちになれる温かい光景です。
平地で広い畑も良いものですが、観光としては斜面にある棚田での撮影がひとつの名物となっています。
冬の花 -Winter-
26.福寿草(1~2月)
雪解けを迎える冬の終わりに土から生えてくる黄色い花。
冬枯れの土の上なので華やかさは無いですが、春の予感を肌で感じる花です。
27.水仙、スイセン(2~3月)
春の訪れとともに咲くスイセン。副花冠と呼ばれる中心の筒状の部分がラッパのように斜め上を向いて咲くのが特徴。
白いスイセンと黄色いスイセンの2種類が代表的です。
まとめ
花畑と言っても以上のように様々な種類があり、色と形によって全体を俯瞰して撮影したときの印象が大きく異なるものです。
花に興味を持つと観光が断然面白くなります。季節限定だからこそ「この時期にこの場所へ行こう」と観光の選択肢が増えていき、国内旅行を長く楽しむことができます。
ということで、国内の魅力をもっともっと知ることができる花畑の紹介でした。