バーチャルのキャラ絵を使用してYouTuberになる「Vチューバー(VTuber)」。
キズナアイが話題となった2018年はVチューバー元年と言われ、2019年には企業から個人までキャラがたくさん登場しました。
これからVチューバーを目指す方は「何を準備すればいいのだろう」とハードルの高さを感じている方もいると思います。
今回は、キャラ絵を描いたことがない知識や経験ゼロからでもVチューバーを始められるよう、使用するソフトと機材に加えて参考になる書籍とコツを紹介していきます。
目次
はじめに:筆者が作成した動画
もともとキャラ絵をまったく描いたことがなくて美術が苦手だった私ですが、正月とゴールデンウィークなどを活用して丸10日間かけて作成したのがこの動画です。
こんな感じで1枚のキャラ絵を疑似立体的に動かして、声を当てることで女の子が喋って色々な解説をしてくれる動画を作ることができるのです。男性が女性の声を疑似的に出すことも可能です。
私の場合は手さぐりで無駄も多かったため10日間もかかりましたが、いくつかポイントをおさえておけばもっと短縮できると思います。
A.編集用パソコンの用意
01.パソコン
パソコンはデスクトップでもノートでも可能ですが、最大のネックとなるのは動画編集ソフトから動画を変換・生成する「動画エンコード」です。
CPUとメモリがそこそこ良いものを選ばないとエンコードに数時間かかり、最悪はエラーが多発してしまい動画作成ができないという事態にもなり得ます。
私はゲーミング用とも言われるタワー型のデスクトップパソコン「DELL XPS 8930」を選びました。購入当時でかなり高性能のCPUに、16GBメモリ搭載でそこそこ快適なエンコードです。
また、後述の音声を綺麗に録音するためにUSBポートがあるものが望ましいですので、USBポートが多いパソコンかUSBポートを増やすUSBハブを用意するといいです。
ディスプレイや周辺機器はほとんど制約がないので「今あるもの」でOKです。
BGMの選定や動画の結果確認で使用するスピーカーは最低限、ベース音が聞き取れるレベルくらいがあれば充分かと思います。無ければイヤホンで確認すればよいです。
B.キャラ絵の描画
自作絵のキャラを使ってVチューバーとして動かすのであれば、まず自作絵を描く必要があり専用の道具が必要になってきます。
02.絵を描く教材・書籍
絵を描いたことがない人は、書籍を見ながら練習するといいです。一度も本格的なキャラ絵を描いたことがなかった私は「本屋で書籍を探す」ところからスタートしました。
私が選んだのは、ペイントソフト「CLIP STUDIO PAINT PRO」の操作方法から始まり、初心者でもわかる下書きから女子キャラの書き方が丁寧に解説された本。体の各パーツの描き方や色設定を一手ずつ解説してあるので、わかりやすいです。
特に全部の章をひとりが解説していることから、抜け漏れがなく全体を通して学習しやすいレベルに統一されている構成が魅力です。
この本の前半で1枚目の絵を描くところまでを実践し、2枚目の絵には手をつけずに自作絵に取り組むことができました。
03.ペンタブレット
絵を書くのはマウスだと厳しいので、専用のデバイス「ペンタブレット」が必要となります。ボードに専用ペンでなぞって線を描いていく形で、絵を描いていくことになります。
ペンタブレットは大きく「液タブ」と「板タブ」の2種類に分かれます。
液晶タブレット上にペンを走らせて描いていく「液タブ」のほうが描きやすいと言われますが、いかんせん値段は高め。一方、手元のボード上でペンをなぞっていくことで、パソコンのディスプレイ上でマウスが動いて描くことができる「板タブ」は安いです。
私の場合は使用頻度が低いだろうということで「板タブ」にして、ペンタブレットで定評のあるメーカー「ワコム」の「Wacom Intuos Small」を買いました。
下の商品はワイヤレスですが、私が買ったのはUSB接続の有線タイプ。ペイントソフト「CLIP STUDIO PAINT PRO」を2年使用できるライセンス付きです。(ライセンス無しの同商品もあります)
どのペンタブレットにするか迷う場合は、先ほどの書籍により詳しい選び方も書かれているので読んでみて決めるのがよいです。
04.ペイントソフト
ペイントソフトというとWindows標準の「ペイント」を思い浮かべる人もいると思いますが、それだと絵自体を最低限描くことはできてもVチューバー用の絵を描くことはできません。
絵を描くときは目、鼻、口、髪、胴体、服などパーツごとに描画や操作をする「レイヤー」の機能がほぼ必須です。そして、VTuberとなるとそれらのパーツそれぞれに動きを設定するため、必須となる機能です。
レイヤー機能以外にも描画の太さ、色などを設定しながら描き進めるためにも専用ソフトを使ったほうが良いです。
私はプロの絵師さんも使用している「CLIP STUDIO PAINT PRO」を利用。先ほどのペンタブレットに2年版が付いているのと、同じく先ほど紹介した書籍で「CLIP STUDIO PAINT PRO」の画面をもとに説明していく構成になっているためです。
05.キャラ制作ソフト
書籍で見本に沿って絵を描けても、次にキャラデザインをするのは至難の業。そこで、着せ替えソフトを利用するという手があります。
私が利用したのは、キャラの各パーツを組み合わせてVチューバーのキャラを作れる「Vカツ」というソフト。このソフトはキャラを作ったらソフト内でキャラの動作も決めて動画を作るものですが、私の場合はキャラ作成部分だけを活用して動きは別ソフトにしました。
基本ソフト「Storm」をインストールした上で「Vカツ」もインストールする必要があります。
ソフト上で服や顔などの着せ替えを行って、キャラをおおまかに作ります。出来たキャラを参考にしながら、自分ならではのオリジナルキャラを描いていけばOKです。
もちろん、そのまま丸パクリは法的にNGです。着せ替えをした顔や体の造形を参考にしつつ、各パーツの描き方は書籍で学んだことをもとにして「CLIP STUDIO PAINT PRO」でオリジナルキャラを描いていきます。
C.キャラ動作の作成
06.動き設定ソフト「Live2D」
平面のキャラを3Dのように動かすソフトとして、定番なのが「Live2D」というもの。
https://www.live2d.com/ja/about/whats_live2d
ここで先ほど説明したとおり「CLIP STUDIO PAINT PRO」などの専用描画ソフトで「レイヤー」に分けて描いたキャラが必要になります。「CLIP STUDIO PAINT PRO」のキャラデータを「Live2D」で読み込むことができます。
なお、私の場合は「ビギナーのためのLive2Dテクニックガイド」という書籍を購入しましたが、品薄で1万円以上するので横浜の本屋にまで出向いて購入。加えて言うと、Live2Dインストール時に動画マニュアルも付随してきて、動画で見たほうがわかりやすいです。
さらに、製作時間を短くするために「サンプルキャラの動きをコピーする」と、簡易的に動きの設定ができます。
07.FaceRig
Live2Dで動きをつけた後、Webカメラと連動させるためのソフト「FaceRig」を入れます。これも先ほど紹介した基本ソフト「Storm」上でインストールします。
また、FaceRigを入れた後、Live2Dと連携するためのプラグインも追加で入れます。FaceRigの設定方法はわかりにくいので、以下サイトどおりに設定すると簡単です。
また、OBSをインストールするとクロマキーを使用でき、キャラの背景を透明化して他の背景と合成できます。
https://obsproject.com/ja
FaceRigクロマキーを活用したOBS利用方法
08.Webカメラ
Webカメラと連動させる「FaceRig」では、Webカメラ上で自分が顔を動かすとキャラが同じ動きをしてくれるというものです。
「FaceRig」の場合は目、髪、肩あたりまでを動かす形として体全体を動かすようなものではありませんが、それゆえ1,000円前後で購入できるWebカメラだけで動きを実現できます。(体全体で動くものは専用デバイスが必要となり数万から数十万かかることが想定されます)
Webカメラは映像を記録するのではなく、あくまで自分の動きに沿ってキャラを動かすために使用するものなので高性能である必要はありません。解像度などのカタログ値は気にしなくていいもので、自分の動きをカメラが認識すればいいレベルです。
D.声の作成
09.マイク
マイクは色々なタイプがありますが、USBタイプのほうがノイズが少なくてACアダプター不要となるのでオススメです。
マイクは手前から出る音だけを拾ってくれる「単一指向性」のほうが、自分の声だけをクリアに録音できます。
さらに、マイク本体、ショックスタンド、アームスタンドが付いたセットが安いということで、私の場合は以下のものを買いました。
10.ボイスチェンジャーソフト
自分の声が気に入らない方や、男性が女性キャラの声を出すなどの場合はボイスチェンジャーを使用します。ハードウェアを購入して取り付ける手もありますが、無料ソフトでも実現可能です。
定番といえば「恋声」というソフト。無料で基本的な機能は抑えられており、操作方法や解説動画もインターネット上に充実しています。
http://koigoemoe.g2.xrea.com/koigoe/koigoe.html
恋声の設定値は以下の動画を見ると参考になります。
注意点として、男性が女性キャラの声を出す場合はソフトに完全依存するものではありません。自分の声の出し方も工夫しなければならず、ソフトは補助だと考えたほうが良いです。声の出し方は以下の動画が参考になります。
E.音楽の作成
11.DTMソフト
正直、音楽はフリー素材で良いと思いますが、作るのであればソフト「CakeWalk」がオススメ。かつては有料でしたが、お金持ちの方が支援しているそうで無料になりました。
フリー素材であれば、映像編集ソフトに付随している音楽やネット上の商用利用フリー素材サイトから持ってくるのが良いです。
F.映像の編集
12.映像編集ソフト
ここまで作成してきたものを使用して、最後に映像編集とエンコードをすることで動画が完成します。
Windowsであれば無料の「AviUtl」が有名で、私も「AviUtl」で動画を作成しました。無料のAviUtlは以下のサイトでインストールなど可能で、こういった情報を読みながら進めないとインストール後に色々エラーとやり直しが発生しやすいです。
https://aviutl.info/intro/
また、Windows10の64ビット版では動画出力の際にエラーが出ますので、以下の対応が必要です。
なお、多彩なエフェクトを簡単に追加できるソフトのほうが完成度は高くなります。ソフト「Filmora(フィモーラ)」が有名ではありますが、Filmoraは商用版を使用しないとYoutube収益時に引っ掛かるらしく、商用版は16,000円くらいと高めです。
https://filmora.wondershare.jp/buy/win-video-editor.html
G.YouTubeアカウントの用意
13.Googleユーザーアカウント登録
動画を完成させた後は、動画サイトに投稿すれば他人に見てもらえます。代表的な動画サイト「YouTube」や「ニコニコ動画」などがあります。
Google社が運営している「YouTube」であれば、他のサービスで作成したGoogleのユーザーアカウントを利用できます。無ければGoogleのユーザーアカウントを無料で作る必要があります。
14.チャンネルの作成
作成したユーザーアカウントの中でチャンネルを作ることで、そのチャンネルに対して動画を次々と保存して公開していくことができます。
ひとつ、YouTubeでのポイントとしては「サブチャンネル」を調べて理解しておくと良いです。
あとは、完成させた動画をアップロードすればOKです。
まとめ
以上、Vチューバーになるために必要な準備でした。