旅行先で綺麗な写真を撮りたい人も、設定がわからずカメラ任せのオートにしてしまう人は多いように思います。
一眼レフを購入しても知識をつけずにオート撮影にしてしまうと、せっかくの高性能も活かせないケースが多々ありますし腕前も上がりません。
そこで今回は、風景だけでなく接写、列車、夜景、花火、お祭り、星空など様々な撮影状況で求められる「カメラの設定値」を解説します。
初心者向けにまず基準的な数値で撮影できるよう値を提示したので、簡単に設定できます。そして、慣れてきたときに苦心して設定値を変えられるような解説も記載しました。
撮影モードは導入から常用まで向いているAモードと、バルブ撮影など特殊条件にも対応できるMモードの2つだけ。一般の解説書よりも簡単に覚えることができる説明にしました。
目次
被写体別の撮影設定を解説
01.昼間の風景撮影
日中の風景は、あらゆる観点で好条件。もっとも撮影しやすい被写体と言えます。
特に明るい晴れの日は光が入りやすいことから有利となり、風の影響を受けない固定物(建物、銅像など)の撮影もブレにくいことから有利で、それゆえ撮影しやすいのです。
俗に「一眼レフやデジカメがなくてもスマホで充分綺麗に撮れる」と言われるのは、大抵こういう好条件下で撮影された写真の話だと考えたほうが良いです。
撮影モードはMよりもAモードが良いです。
まず「露出は±0」「絞り値をF=10」「ISO感度を100」にします。するとシャッタースピードが算出されますが、これが大体1/200を下回らなければそのまま撮影して良いです。
シャッタースピードが1/100あたりに落ちてくると、手ブレが起きやすいのと揺れる葉っぱなどが被写体ブレする傾向が出てくるためです。
特に花や人の撮影では被写体ブレに気を付けます。
シャッタースピードが低い場合は、絞り値かISO感度を下げていく(妥協する)とシャッタースピードの値が上がっていく(改善される)ことになります。トレードオフの関係です。
露出を上げると風景全体が綺麗に見えるので値を少しプラスにするといいものの、一方で空の青さが失われていくため、±0を基本としつつ好みで調整するといいでしょう。
02.夕方の風景撮影
夕暮れになって日が沈んでいくと光量が少なくなるため、時間が過ぎるごとに刻一刻と撮影条件が悪くなっていきます。
三脚があれば、日中と同じく絞り値とISO感度を良くしてシャッタースピードがどれだけ下がっても手ブレせずに撮影できます。(被写体ブレは発生します)
しかし、三脚が無い手持ち撮影で夕方を迎える場合は、手ブレを防止するために絞り値とISO感度を少し犠牲にした撮影となります。
撮影モードはMよりもAモードが良いです。
空が暗くなると、Mモードでは直接的に露出が下がり、Aモードの場合は直接的にシャッタースピードが悪くなり、そこから設定値変更します。
日中より設定値を下げるものの「露出は±0」「絞り値をF=7」「ISO感度を400」あたりを基準にしてから、可能なかぎり設定値を上げます。
そして算出されたシャッタースピードが大体1/200を下回らなければ、そのまま撮影。あまりに低い場合は絞り値とISO感度を妥協して調整していきます。
03.接写撮影
路上の設置物や花など、綺麗なものを拡大アップで撮影するのも楽しいもの。
立体感を出して被写体を引き立たせるために「背景をぼかす」と芸術的な写真となり、そのために絞り値を意図的に低くするのがひとつのテクニックです。
撮影モードはMよりもAモードが良いです。
まず、絞り値をなるべく下げます。レンズや望遠など状況にもよりますが、F=3.5くらいまで下げても良い構図も多いです。
絞り値を下げるのは「背景をぼかす」立体効果があるためですが、その副産物として他の3要素の設定値を上げやすくなる利点があります。
そして「露出は±0」「ISO感度を100」を設定した上で、算出されたシャッタースピードが1/320を下回る場合はISO感度を悪くしてシャッタースピードを改善していきます。
しゃがんで撮影する場合や地面近くの撮影など不自然な体勢での撮影では、手ブレを起こしやすいためシャッタースピードは普段より気持ち程度良くしておいたほうがいいです。
また、屋内は人間の目の感覚よりも暗いことから、食べ物や室内小物の接写撮影はISO感度を妥協するか三脚での撮影が望ましいところです。
04.走行中の列車撮影
列車撮影は一般の景色とは異なり「列車がブレないようシャッタースピードを上げる」ことになるため、4要素すべての設定値をしっかり吟味する必要があります。
撮影の腕を上げるなら鉄道撮影が断然オススメ。天気や構図を意識しつつ、不利な条件でも適正な設定値を探ることが勉強につながります。
撮影モードはAよりもMモードが良いです。
まず最優先で考えたいシャッタースピード。例えば普通列車なら1/600、新幹線なら1/2400あたりで一旦、仮決めします。
遠景を綺麗にするため絞り値を上げて、単一色の列車側面がざらつかないようISO感度を良くすると、算出される露出は低めになりがち。
露出が低くなった場合のみ、残りの3要素を少しずつ下げて(妥協して)調整していきます。どれを下げるかは試し撮りして好みで決めます。
シャッタースピードを短くするので三脚が無くても手ブレは発生しませんが、構図を定めるために三脚を用いる撮影者がほとんどです。
特に列車撮影は30~60分前に現地で三脚を構えて、試し撮りをしてブレないシャッタースピードと各設定値を探るのが確実。
線路形状(直線だと列車が速い)、制限速度標識(線路沿いにある)、列車種類(四季島はゆっくり走るなど)といった条件も加味して、経験則でシャッタースピードの適正値を決められるようになれば一人前です。
ちなみに、天気の悪化や夕暮れに近づくにつれて露出値が下がるので、夕方に時間経過で少しずつ露出の設定数値が下がっていく点も経験しておくとよいでしょう。
05.滝の撮影
滝の撮影は2つのパターンがあり、シャッタースピードを「短くする」パターンと「意図的に長くする」パターンで設定が異なります。
水しぶきの粒まで映るよう瞬間を撮影する場合は、前述の風景(昼)の撮影と同じように設定してシャッタースピードを短くして撮れば良いです。ただ、滝は木々に囲まれて太陽光が入りにくい傾向にあるため、条件は若干不利になります。
一方でシャッタースピードを意図的に長くする方法があり、これこそ一眼レフ撮影ならではの撮り方です。水しぶきのある水の通過を長い秒数で捉えることで、シルクのような滑らかな水の流れを写真に収めることができます。
撮影モードはAモードが良いです。一般的にSモードが良いと解説されますが、慣れたAモードで同じ条件の撮影ができます。
前提として、シャッタースピードを意図的に悪く設定するトレードオフメリットとして、他の3要素の設定値を良くできる好条件の撮影です。
まずはISO感度を100など最良に設定し、空を写さない場合は露出も少し高めにすると綺麗に撮影できます。
そして、Aモードにて絞り値を上げる操作をしながら設定画面を見て、シャッタースピードが1秒前後まで下がる(長くなる)ことを確認してから撮影すればOKです。
なお、シャッタースピードが1秒前後だと手ブレを起こすため、三脚の使用が半ば必須です。
06.夜の街の撮影
夜の景色は基本的に三脚必須と考えたほうが良く、もし三脚が無いのであれば後述の「お祭りの撮影」に記載した設定で撮影します。
三脚を利用することでシャッタースピードを長くできるのが利点。条件としては撮影しやすいですが、試し撮りなど撮影に時間と手間がかかるものです。
撮影モードはAモードをまず試します。
ISO感度を100など良い値に設定すると、デジカメのオートなどと比較にならないくらい綺麗に。
被写体が近くなければ絞り値も上げます。そして、露出を多少明るくなるようにして試し撮りして、納得いく写真の明るさが出ていればOK。
動く被写体が入らない構図であれば、シャッタースピードを気にせず撮影して構いません。
構図内を通過する被写体(人や車)があるような場合は、自動算出されたシャッタースピードが目安として5秒より長ければ良いですが、この秒数は人による好み次第です。
秒数が長ければ「薄くモヤッとしたブレかた」になり、通行人は霧ががかるようにぼやけるため自然に見えます。車はテールランプが綺麗な線になる写真が出来上がればOKです。
街灯の無い場所など、Aモードの撮影でどうしても暗い写真になってしまう場合は、次に紹介する「夜景の撮影」の方法を試すといいでしょう。
07.夜景の撮影
ビルや工場など遠景の夜景撮影も、基本的には前述の「夜の街の撮影」と同じ要領で撮影することも可能ですが、広い空を構図に収めると光量が足りないケースが多く出てきます。
Aモードが不便ならMモードを使用する、というのが夜景撮影の基本。バルブ撮影も可能なMモードを使用して、シャッタースピードをもっと自在に扱えるようにします。
カメラの機種にもよりますが、シャッターボタンを押し続けている間は撮影中となる「Bulb」と、シャッターボタンを開始と終了の2回押す「Time」を用いると、30秒以上の撮影が可能となり明るい写真が出来上がります。
撮影モードはMモードという前提で解説します。
まず、シャッタースピードは景色の光量に応じて10~30秒を目安に設定。そのぶん絞り値とISO感度は良い設定にできる利点があります。
ピントを合わせにくい夜の遠景の撮影では絞り値は高めにし、夜の空は特にざらつきが目立つためISO感度も最良の100に設定します。
シャッタースピードを調整しながら試し撮影をしていきます。最大の30秒にしてもなお暗い場合は、さらに秒数を長くしようと操作すると設定画面に「Bulb」か「Time」が表示されます。
BulbよりもTimeのほうが長押し不要で操作しやすいです。Timeでシャッターボタンを押し(押し続けなくて良い)、30秒以上を頭の中で数えるかスマホなどのストップウォッチで測って、自分が望む秒数に達したらもう一度シャッターボタンを押すと撮影完了。
あとはプレビューで明るさを見つつ試し撮りを繰り返していけば良いです。当然ながら撮影にかかる時間は長くなり、1か所の撮影で1~2時間経過することはザラです。
08.花火の撮影
花火もMモードのバルブ撮影が基本となり、大体は「夜景の撮影」と同じ要領で撮影します。
ただ、夜景と異なって花火は「不規則に上がる」ことから、試し撮りだけでなく打ち上げ状況も加味してシャッタースピードをリアルタイムで考えていくことが大事です。
また、シャッタースピードが長ければ明るくなりますが、だからといって動きのある花火が綺麗な形になるとは限りません。状況により、シャッタースピードを多少短くすることも考えて撮ります。
撮影モードはMモードが良いです。
シャッタースピードは10~30秒にするのもありですが、BulbやTimeで任意に秒数を数えてリアルタイムに秒数を数えて撮影します。
夜景と同様、絞り値は高めでISO感度も最良の100に設定。
光ったものが加算・合成されていく考え方をするとよく、シャッター開放中(撮影中)に光った花火がすべて1枚の写真に収まります。
シャッタースピードを短くすると光の粒が撮れて、シャッタースピードを長くすると光の粒が通過する線として撮れます。好みでシャッタースピードの長短を選ぶため、BulbやTimeが理想です。
また、花火が打ちあがり続けると、空に充満した灰色の煙も写真に収まってしまいます。打ちあがり始めを狙いつつシャッタースピードをあまりに長くしすぎないことが大事です。
09.お祭りの撮影
お祭りは「夜に開催されて人、神輿、山車などが動き回る」場面が多い上に、人混みだらけで三脚を立てるスペースを確保できないケースも多々あります。
観客ならまだしも神輿や山車が被写体ブレするのは綺麗とはいいがたく、光量の少ない夜に動き回る被写体をブレなく撮影するのは最も困難な撮影条件です。
そのため、仕方なく画質を妥協する設定値にすることで被写体ブレを避けて撮影します。
撮影モードはAモードが良いです。
とにかく不利な条件下ですので、まずはISO感度を徹底的に悪くします。これにより、通常どおりのシャッタースピードを確保するのです。
絞り値と露出は、妥協できる範囲でいいので下げながら試し撮影していきます。
3要素を決めるとシャッタースピードが算出されますので、被写体ブレしない数値ならOK。大体1/200を下回る場合は、3要素をさらに下げて妥協していく感じで良いです。
ISO感度を下げることで単一色の夜空のざらつきが極端に目立つため、空を極力写さずに照明が沢山入る構図にするのがコツです。
10.星空の撮影
星空の撮影は「星を点になるよう撮影」「星を線になるよう撮影」の2パターンあります。
設定的に簡単なのは、バルブ撮影の長時間シャッターで「星を線になるよう撮影」する方法。科学の教科書のように星の移動軌跡を撮影することができます。
ちなみに上の写真は7分以上シャッターを開けて1枚撮影した写真。背景の山は肉眼では一切見えないもので、星の撮影でも背景を写すことができるのです。
撮影モードはMモードにします。
絞り値を良くすると長時間撮影がさらに長く伸びるので、下げる(妥協する)のがベター。
夜空のざらつきを避けるためISO感度は100など良い数値にし、シャッタースピードは下げる操作をしてTimeで撮影します。
三脚を立てて数分間ずっと撮影状態にするため、寒さ対策の厚着をして辛抱強く待ちます。
ちなみに「星を点になるよう撮影」するパターンにするのであれば、レンズなど機材系の対策が半ば必須。意外にシャッタースピード30秒でも星の点が歪みかけるため、ISO感度を少し下げつつシャッタースピードを15秒くらいにするための工夫が必要になってきます。
まとめ
撮影する被写体によって設定の考え方は様々ですが、それぞれの被写体にてパターンがあります。
最初は当ページをスマホで見ながら「記載した設定値で撮影する」「解説した説明に沿って設定値を少し変えて試し撮りする」ことを続けていけば、次第に頭と体で覚えていくことができると思います。
以上、あらゆる被写体別に適切な4要素(シャッタースピード、絞り、ISO感度、露出)の解説でした。