九州の中でも麦焼酎を主力とする大分県では、大手企業の名酒「いいちこ」を主力としつつ大小様々な酒蔵が麦焼酎を造っています。
二階堂、西の星など様々な麦焼酎。そして樽熟成でウイスキーのように仕上がった麦焼酎も魅力のひとつです。
今回は、筆者オススメの焼酎銘柄として芋・麦・米と素材ごとに大分県の焼酎を紹介していきます。
セシモ コイ
目次
A.大分県の麦焼酎
01.とっぱい / 南酒造(国東市)
国東(くにさき)半島にて、銘柄「とっぱい」を主力とする南酒造。明治元年創業で150年近い歴史を持ち、元は清酒から始まり米焼酎「躍進」のヒットを経て今に至ります。
5代目当主により30年ほど前に人気が出始めていた麦焼酎に参入して作り上げた「とっぱい」は、まろやかですっきりとした味わいが特徴。
日本酒と同じ行程で焼酎を造るよう意識しているそうで、味が締まるよう寒い時期のみ蔵を稼働させることを焼酎でも実施。国東伝統の清酒製法技術を継承した手造り麹を使用。
通常は二段仕込みのところを三段仕込みにして手間と時間をかけたもろみ造り。低温発酵、常圧蒸留、最後に加える水も国東の地下水を使用。度数は20%と25%の2製品あります。
名前の由来はお酒の杯数を数えて「十杯」から来ているそうで、米泥棒で捕まった若者に救いの手を差し伸べた神様の名前から取ったとも。
02.香吟のささやき / ぶんご銘醸(佐伯市)
ホタルも舞う九州屈指の清流「番匠川」のほとりで、明治43年に清酒造りから始まり昭和59年に本格焼酎の製造を始めた酒蔵「ぶんご銘醸」。
麦焼酎「ぶんご太郎」を基本の銘柄としつつ、甘酒や日本酒も手掛ける酒蔵。製品の中でも県外にも流通する「香吟のささやき」は、一般的なアルコール度数よりも高い28%の麦焼酎。
原料麦を50%まで磨き、低温で21日間かけて発酵させたきれいな香りが特徴。フルーティーな香りが立ち、柔らかさと甘みが口いっぱいに広がり後味のキレもある焼酎です。
03.自然麦 / 藤居醸造(豊後大野市)
豊後大野市の千歳町で昭和4年に創業した「藤居醸造」は、手作り焼酎一筋の社長が杜氏を務める小さな蔵。製麹工程で「むろ蓋」を使用するなど昔ながらの製法で、少量の完全手作り。
銘柄「泰明」を代表として麦焼酎を主軸としており、その中で無農薬栽培の二条大麦を使用した「自然麦」という銘柄も特徴ある1本です。
名水百選のひとつとなる地元の「竹田の名水」を割水に使用しており、ラベルの「大分んもん」は大分産という意味です。麦の香ばしさを特徴とした味だそうです。
B.大分県の麦焼酎・樽熟成
麦焼酎を樽に入れて熟成させて、黄金色がかった焼酎はまろやかでバニラ香の魅力。製法や味はウイスキーと似ていますが、燻製香を付けず1回蒸留するなど焼酎独自の決まり事によりライトに楽しめる味です。
04.銀座のすずめ 琥珀 / 八鹿酒造(九重町)
アメリカのケンタッキー州にある蒸留所などから取り寄せたバーボンウイスキー用の樫樽を用いて、トンネルを貯蔵庫にして熟成させたほのかな琥珀色の「銀座のすずめ 琥珀」。
江戸期より清酒造りに精魂を傾けてきた八鹿酒造の技を用いた焼酎。白麹を用いて醗酵させた大麦麹と大分県産大麦を使用し、減圧と常圧を組み合わせて蒸留。
九重連山の伏流水を仕込み水として使用。貯蔵は2~10年で樽の内部に付いた焼きこげが雑味を吸収し、スモーキーな香りとまろやかな味に。
1998年に発売されて、年間約40万本を売り上げる人気商品。水割り、お湯割りなど色々な飲み方で美味しく、特に冷やしてストレートとオンザロックでの飲み方がオススメとのこと。
まとめ
九州の麦焼酎といえば長崎の離島「壱岐」もメッカですが、壱岐では離島ならではのクセがある味わいの傾向。そのぶん大分県は万人に受けやすく、大手の充実したラインナップなど麦焼酎の導入として入りやすい印象があります。
以上、大分県の焼酎の紹介でした。