ドラクエシリーズで有名な堀井雄二氏がシナリオを手がけた、懐かしのアドベンチャーゲーム「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」。
東京湾を皮切りに北海道で複数起きる殺人事件を解決すべく、主人公であるボスとシュンが北海道の各地を巡って捜査していくゲームです。
このゲームに登場する場所の多くは実在し、ゲームに触発されて北海道旅行をした人も多いかと思います。
ここでは、1987年に発売されたファミリーコンピュータ版をもとに、登場した北海道の名所を写真とともに紹介していきます。
目次
01.釧路空港
シュン「よろしくお願いします。とりあえず釧路市内までご案内いたしましょう」
殺された増田の持っていたハガキの宛名をもとに、東京から釧路市緑ヶ丘へと向かうために利用した釧路空港。北海道警の猿渡シュンスケとの出会いの場でもあります。
釧路は丹頂鶴(タンチョウヅル)の生息地として有名なことから「たんちょう釧路空港」の愛称を持ち、東京、大阪、台湾などと飛行機で結ばれています。
上の写真の窓から見えるのは、6社もあるレンタカー屋と駐車場。ゲームで出てきた窓とは違う場所を撮影してしまったようです。
02.釧路市内
シュン「釧路市内に着きました。さあ、どういうふうに捜査を始めますか?」
ゲームの前半、緑ヶ丘へと向かう通過点として利用される「JR釧路駅」の駅前。ゲームの後半でも目撃情報を得られる場面として登場します。
駅舎の窓付き壁面は色こそ違えど、ゲームと同じような見た目です。釧路空港からは駅まで直通バスが出ていますし、バスターミナルから緑ヶ丘へ行くこともできます。
現在でこそ帯広のほうが発展した都市ですが、古くは釧路のほうが賑わっていたとか。のどかな都市の景観を持ちつつ、徒歩で魚市場へも行ける港町です。
03.緑ヶ丘
シュン「この辺りが緑ヶ丘ですが。おや、増田という人の家がありました」
殺された増田の実家がある、釧路市の緑ヶ丘(みどりがおか)。家の前でたたずむ母親「増田たえ」が受け答えをする場面があります。
釧路駅の隣駅「東釧路駅」から徒歩圏内にあり、北海道ならではの二重ドア式玄関を持つ一軒家が立ち並ぶ住宅地です。
ネットの電話帳では緑ヶ丘2丁目に増田という苗字の家が存在するため来訪してみましたが、現地には増田の表札を掲げる家は見つかりませんでした。
04.北浜駅
*「はい。北浜ホテルです。ダブルでしたら、8700円でお取りできますが」
増田と金銭の授与があった飯島幸男の住まいが北浜だったことから、降り立つことになった北浜駅。駅員との会話で、第2の事件が発生したと教えてくれます。
釧路と網走を結ぶJR釧網本線の駅で、オホーツク海にいちばん近い駅として有名。駅舎内に小さなお店が1軒あり、ホーム脇に木製の展望台があります。
無人駅ですので、ゲームのような駅員はいません。ホームと海の位置関係が逆で、北浜ホテルの看板が無い点もゲームと異なります。
05.北浜の浜辺
シュン「北浜の浜辺です。かなりの人が集まっています」
2人目の犠牲者となる飯島幸男の死体が発見される北浜駅の浜辺。あたりに野次馬が集まり、飯島幸男の息子から色々と情報を得ることができます。
北浜駅から近く、踏み切りで線路を越えて浜辺へと出ることができます。
駅自体は喫茶店や展望台など見所はありますが、浜辺は至って普通の海。ただ、流氷が浜辺一面に流れ着く厳冬期の光景は芸術的です。
06.札幌すすきの コロポックリ
シュン「札幌、すすきのです」
ゲンさんが勤めている炉辺焼きのお店「コロポックリ」は、ゲーム内でも何度か訪れる必要のある重要な場所。「札幌すすきの」に来訪してからお店に入れます。
コロポックリは実在しない架空の店で、アイヌ語で小人を意味する「コロポックル」を文字ったものと思います。
札幌市営地下鉄すすきの駅がある交差点から、コロポックル(古艪帆来)の看板が見えます。炉辺焼き屋ではないですが、中は広くてウニやシャケが美味しい北海料理の居酒屋です。
07.網走市内
シュン「東京の人は網走と言うと、すぐ刑務所を連想するかもしれませんね」
物語の前半を中心として後半にも登場し、情報収集の要となる網走。ロンドンのアビイ・ロードを思わせる、横断歩道を渡る人と奥までのびる道路が印象的です。
JR網走駅の東には碁盤の目のような網目の道路が張り巡らされており、ゲームでの風景と同じように直線道路を見ることができます。
確かに東京の人は刑務所を連想する方が多いと思いますが、実際に来訪してみるとシュンの言うとおり穏やかな街並みを感じさせます。
08.網走港
シュン「ボス、これで3つ目の殺人事件です。一体、どうなっているのでしょうか?」
第3の死体が発見される網走の港。序盤の難所としてタイヤ痕を見つけられるかがカギで、秘書から情報収集できます。
網走駅の東には流氷船の観光を楽しめる港の街の東に海があり、網走市街地にある桂台駅からも徒歩で来訪できます。
コンクリートの桟橋が海に突き出た風景を見ることができますが、ゲームがどの場所なのか明確にはわかりません。
09.摩周湖
めぐみ「私は中山めぐみ。隣にいるのは私の友達の野村まきこよ」
まきこ、めぐみとの出会いの場となる摩周湖。柵のある展望広場からは、神が住むと言われるカムイッシュの島が見えます。賑やかな売店、登山道もあります。
こことは別の裏摩周展望台からもカムイッシュの島を見ることができますが、柵の質や遠くの山の形から一般的な摩周湖展望台がゲームで用いられたようです。ちなみに、100円式双眼鏡は置かれていません。
前編はこれで終わり。知床五湖で4人目の死体が上がり、中編へと突入します。
10.知床五湖
シュン「これで4人目の死体です。この事件は一体どうなっているんでしょうか?」
4人目の死体が浮いていた知床五湖。5つの湖を総称して五湖と呼ばれており、ゲームに登場したのは、おそらく駐車場から歩道を歩いて1番目に見える一湖です。
三湖以降はヒグマが出やすいことから基本的に封鎖されていますが、それでも二湖までの遊歩道を歩く観光客が多い人気スポットです。
11.知床の駐車場
シュン「どうです。北海道の牛乳はコクがあって美味しいでしょう?」
ゲームでは目撃者として売店のオバちゃんが登場するのですが、背景に赤いレンガ調の建物のある場所が現実では見当たりませんでした。
上の写真は知床五湖の駐車場ではなく、知床国道から知床五湖に分岐する場所にある知床自然センターの駐車場。パック牛乳があり、おでんは無さそうです。
12.ウトロの街
シュン「知床半島の中ほどにある、ウトロのまちです」
世界自然遺産となっている知床の観光拠点となっている、港町のウトロ。ゲームに出てくるお土産屋は実在するらしいのですが、見つかりませんでした。
13.函館の街
*「え、小樽じゃなくて蛍町の場所?そんな町はありません」
嘘によって無駄足となり、何故登場したのかよくわからない函館。それでも訪れないと次へ進むことができない場所です。
函館駅近くは海沿いの市街地ですが、少し遠くまで足を運ぶと坂の多い道に教会が立ち並ぶ観光地があります。函館夜景のロープウェイもこの辺りにあります。
モデルとなった場所は正確ではありませんが、チャチャ登り(坂)の頂上付近から眺めるハリストス正教会ではないかと言われています。赤い屋根は遺愛幼稚園です。
14.阿寒湖
シュン「阿寒湖です。アイヌの民族衣装を着た人たちと、写真屋さんがいます」
アイヌの文化が色濃く残る阿寒湖。実際には貸し民族衣装や撮影の光景は見かけませんでしたが、ゲームと似た風景を見つけることができました。
観光目的としてアイヌ文化を広く開放している観光地です。
15.屈斜路湖
シュン「波打ち際をよく見ると、茶色の丸い苔が漂っていることがあります」
これまたゲームと同じ風景の広がる、屈斜路湖の和琴。ゲームでは「わごと」となっていましたが、正確には「わこと」です。
奥にある建物は売店です。マリゴケについての解説立て札は砂浜上には無く、上の写真撮影時の背中側にあります。
ここから本当に100mほど背中側の湖畔沿いを歩くと、和琴温泉があります。ちなみに、ここではなく屈斜路湖の東側のほうが観光として賑わっています。
16.ウトロ港
シュン「ウトロ港です。船員と思われる男がいます」
船員に例のものを壊されるウトロの海沿い。上写真はゲームとは異なる場所のようで、山の上にあるのは知床峠方面への道路です。
17.トドワラ
シュン「なるほど。木の墓場という感じです」
野付半島にある、木の墓場のように見えるトドワラ。海水に侵食されたことで、木々にとって成長を阻害する海水を吸ってしまったことにより枯れてしまったトドマツの群生です。
中編はこれで終わり。他にも実在しない「かがやりょかん」「まりもや」「警察病院」がゲームでは登場します。ここからラストの後編へと突入します。
18.和琴温泉
めぐみ「そんなに私のことを見つめて。かわいそうだから見せてあげるね」
屈斜路湖の和琴の海沿いにも青空の下に温泉が沸いているのですが、さらに100mほど湖畔沿いの森を歩くと温泉の建物があります。
確か無料の小屋で、熱めのお湯で入るのに苦労した記憶があります。混浴ではなく男女別となっています。
19.紋別の街
おばさん「わしの憧れの人じゃった。だから覚えちょるんよ。あれ、はずかスー」
ゲームでは紋別1丁目となっていましたが、場所がよくわからず別の場所で撮影。人口が少ないのか、何となくさびれた街という印象です。
20.紋別公園
シュン「紋別の町が一望できる展望台です。慰霊碑があります」
ゲームでは展望台として登場した紋別公園。テトラポッドの形をした港湾殉職者慰霊碑があり、後ろには公園の森が広がっています。
海は上の写真撮影時の背中側にあり、ゲームとは逆の位置関係にあります。
21.みなとの迎賓館
シュン「紋別の港です。港湾管理事務所があります」
ゲームでは港湾管理事務所として登場した、みなとの迎賓館。海沿いではないですが形もかなり似ています。ミニライブなど小さなイベントで用いられる施設のようです。
22.網走刑務所
シュン「歌で有名なためか毎日多くの観光客がここを訪れるそうです」
網走刑務所の収監の門構えのある場所で、番外地即売所はもう少し右手奥にあります。
もちろんニポポ人形も売られており、巨大な飾り用もあれば箸置きなどの実用品となるものまであってお土産として最適です。
23.博物館網走監獄
シュン「看守の話によれば、現在、強盗殺人の罪で服役中なのだそうです」
実際の網走刑務所に一般人が入ることはできませんが、車で少し離れた場所に博物館網走監獄という観光地があります。
24.夕張の街
シュン「石炭産業の斜陽化を反映してか、何となく寂れた感じの街並みです」
このゲーム発売当時の1987年にはすでに「石炭産業の荒廃による斜陽の街」と称されており、結果的には財政破綻してしまった夕張。持ち直せるのでしょうか。
25.夕張中央炭鉱
シュン「まだ、まきこさんの温もりが残っている感じです!」
炭鉱業は完全廃止。日本で炭鉱の採掘をしているのは釧路のマインパークだけで、観光としての位置づけだったと思います。
26.札幌駅
シュン「在来線では初めてのハイデッキの豪華なグリーン車が売り物です」
ゲームのクライマックスとして盛り上がる、JR札幌駅。
旭川方面、余市方面に行くことができるのですが、実は高速バスを使うという手もあります。
27.新千歳空港
シュン「やれやれ、ボス。これでようやく一件落着ですね。ご苦労様でした」
事件が解決し、東京へと戻るボスをシュンが見送る切ない場面として登場する空港。
ゲーム上ではどの空港なのか説明はありませんが、札幌駅から近い新千歳空港ではないかと推測できます。
これで登場する場面の紹介は終わりです。
まとめ
「こんな場所まで実在したのか」と思った方もいるでしょうか。
北海道観光、特に道東は車での移動距離が多いので、ルートのついでに今回紹介した場所を組み入れてみるのも楽しいかもしれません。
以上、「オホーツクに消ゆ」ロケ地の紹介でした。