
様々なグルメが流行する東京都ですが、昔ながらの郷土料理や新たなご当地グルメもしっかり存在します。
江戸を象徴する寿司やもんじゃ焼き、23区以外でも八王子ラーメン、離島にはべっこう寿司など様々な郷土料理があります。
今回は東京都(23区、多摩、離島)の旅行者に向けて、東京都の飲食店で楽しめるご当地グルメを紹介します。
セシモ コイ
東京都のグルメ分布図
東京都のグルメはこんなに豊富!番号順に紹介していきます。
A.東京23区のグルメ
東京タワー・お台場・浅草寺のある東京23区(中央・千代田・文京・港・新宿・品川・目黒・大田・世田谷・渋谷・中野・杉並・練馬・板橋・豊島・北・台東・墨田・江東・荒川・足立・葛飾・江戸川)のご当地グルメを紹介。
01.もんじゃ焼き(23区内)

小麦粉を水溶きした水分多めの生地を、鉄板の上に流すように並べて焼いた料理。
生地にソースなどで味付けがされており、古くは東京下町の駄菓子屋で子どもに人気だったもの。現在はキャベツなど具材が豊富な食事です。
昭和20年代の台東区浅草が発祥で関東各地に広がったなど諸説あり、現在は中央区月島の名物としても有名。墨田区・江東区・葛飾区・足立区・荒川区など下町に老舗が残ります。
02.江戸前寿司(23区内)

せっかちな江戸っ子が好む食べ方として江戸時代に生まれた、握り寿司。
埋め立てられる前の東京湾は江戸前の海と呼ばれた漁場で、江戸時代に生産され始めた食酢のご飯に新鮮な魚を乗せた歴史ある郷土料理です。
戦前は立ち食いスタイルだったと言われ、巻きずしや軍艦巻きなど素材に合わせた工夫も生まれて今に至ります。
03.ちゃんこ鍋(墨田区)

醤油、味噌、塩などのスープで肉類と野菜類を煮込んだ鍋料理。特に鶏肉や魚介類が用いられ、醤油系で鶏肉を煮込むのがベースとされます。
大量に調理できて栄養のバランスが良く大人数で鍋を囲う連帯感もできることから、明治時代から相撲部屋の代表的な料理に。
相撲の聖地「両国国技館」のある両国駅の周辺にて、一般客向けのちゃんこ鍋店が並びます。
04.電気ブラン(台東区)

明治時代に誕生した、ブランデーをベースにしたアルコール飲料。当時は45度のアルコール度数を誇り、電気のようにしびれることから命名。
浅草の神谷バーの創業者「神谷伝兵衛」が明治期に作り、今でも材料の詳細や配合は非公開。30度と40度の製品が今は売られています。
太宰治の小説「人間失格」にも登場するお酒として、100年以上愛されている東京の名物です。
05.谷中メンチ、谷中コロッケ(台東区)

東京の下町のひとつとして、谷根千エリア散策のルートとして人気の谷中銀座。
古いたたずまいで幾つか存在する精肉・惣菜店における名物が「メンチカツ」です。
安価さもあって行列ができる定番の食べ物として食べ歩きできる食材です。
06.蒲田羽根付き餃子(大田区)

蒲田は駅から徒歩圏内に餃子店が20店舗以上ひしめく、餃子激戦区。特に餃子の焼き目側が衣でつながって羽根に見える「羽根付き餃子」発祥の地とされています。
蒲田で有名なお店として御三家と言われているのが、你好(ニイハオ)、歓迎(ホアンヨン)、金春(コンパル)の3店。你好を発祥として親族で当3店まで広げたそうです。
日本独特の焼餃子をより美味しく食べる方法として、你好の創業者が羽根付き餃子を発明したとされています。皮に厚みがあり、具が多くてサイズが大きいのも蒲田ならでは。
ニンニク不使用の店も多いとか。基本は中華料理店での提供のため、餃子以外にも多数の中華料理にお酒も豊富にあります。
[店一覧] 提供12店舗まとめ記事
[店分布] 蒲田駅近くに20店舗以上
[おすすめ店] 金春新館 – 中華料理全般に御三家の餃子も楽しめる店
B.北多摩地域のグルメ
昭和記念公園・高尾山・ピューロランドのある多摩地域(立川・武蔵野・三鷹・昭島・調布・府中・小金井・小平・東村山・国分寺・国立・狛江・東大和・清瀬・東久留米・武蔵村山・西東京)のご当地グルメを紹介。
07.深大寺そば(調布市)

調布の人気観光地、深大寺(じんだいじ)。門前通りを中心に20店ほど蕎麦屋さんが存在し、深大寺そばとして知名度が高いです。
水はけが良い土地と湧き水があったことで、江戸時代から蕎麦の栽培が盛んだった深大寺周辺。
現在は蕎麦畑をつぶして神代植物公園を開園したことで地元産のそば粉を使用することは無くなりましたが、観光客向けのそば屋が賑わいます。
08.東村山黒焼きそば(東村山市)

イカ墨、鹿児島特産の日本酒「黒酒」、様々な香辛料をブレンドした「黒ソース」をベースとした、ご当地B級グルメの焼きそば「東村山黒焼きそば」。
2009年に黒焼きそばを扱うお店をまわるスタンプラリーを開催したことで、市内の色々な店舗で継続提供しているグルメとして定着しています。
東村山市に本社と工場を置く調味料メーカー「ポールスタア」が黒ソースを自社開発し、地域の特産品として市販するとともに市内の飲食店に提供しています。
C.南多摩地域のグルメ
昭和記念公園・高尾山・ピューロランドのある多摩地域(八王子・町田・日野・多摩・稲城)のご当地グルメを紹介。
09.八王子ラーメン(八王子市)

刻みタマネギを乗せるのが最大の特徴となる、鳥ガラダシの醤油ラーメン。
1959年に八王子の子安町に移転して総菜屋からラーメン店へと転身した「初冨士」が発祥店とされています。
刻んだタマネギの苦味を抑えるためにラード、油脂を使用するのも特徴です。
10.八王子ナポリタン(八王子市)

刻みタマネギが乗り、カゴメの協賛によるケチャップを活用したご当地ナポリタン。
刻みタマネギが乗る八王子ラーメンをリスペクトして開発されたものです。
大学が21もある学園都市の八王子にて、約10万人の学生たちにお腹一杯食べてもらいたいという想いが込められたメニューです。
11.稲城の梨(稲城市)

多摩エリアの稲城市は梨とブドウが特産品で、とりわけ稲城の梨は知名度が高いです。
梨の直売を行う梨園が多く、8月中旬から10月上旬にかけて様々な梨が販売されます。
大きい身の品種もあって贈答用にも用いられ、中でも生産量が少ない品種「稲城」は幻の梨と言われます。
D.西多摩地域のグルメ
昭和記念公園・高尾山・ピューロランドのある多摩地域(青梅・あきる野・福生・羽村・奥多摩・日の出・瑞穂・檜原)のご当地グルメを紹介。
12.アメリカンハンバーガー(福生市)

航空自衛隊とアメリカ空軍による横田基地のある福生市周辺では、アメリカ由来となるハンバーガーを楽しめるお店がいくつかあります。
パブなど海外の雰囲気に外国人も多い店にて、お酒などを交えながらハンバーガーやポテトなどボリュームのある料理を楽しめます。
ハンバーガーはボリュームたっぷりで、厚みあるハンバーグサイズのパティ(肉)と輪切りの大きいトマトやタマネギなどが具材として挟まれており食べ応えとジューシーさが特徴。
[店一覧] 食べログ検索結果
[店分布] 福生市に数店舗、他
[おすすめ店] デモデヘブン 福生店 – 東福生駅でアメリカンなパブ
13.ハムライス(羽村市)

羽村(はむら)市の名前を由来としてハムを使用したグルメとして、ハムとお米を使用したB級グルメ「ハムライス」。
ハムライスバーガーとハムライスコロッケが代表的な様子。餃子、リゾット、お好み焼き、春巻きなどもあり、色々なタイプの料理としてハムとお米を使用したグルメです。
14.奥多摩のそば(奥多摩町)

自然豊かで渓流のある奥多摩エリアでは、美味しい水による蕎麦のお店も多いです。
JR青梅線と青梅街道のある青梅~奥多摩間に老舗や古民家の店が点在し、御岳山の御岳神社参道の名物「とろろそば」もあります。
E.伊豆諸島のグルメ
伊豆大島・八丈島・青ヶ島のある離島(大島・利島・新島・神津島・三宅・御蔵島・八丈・青ヶ島・小笠原)のご当地グルメを紹介。
15.明日葉(離島全域)
明日葉うどん/伊豆大島 pic.twitter.com/dWXixBaIyT
— shiroごはん (@_shiro_foods) 2020年12月8日
伊豆大島や八丈島の特産品となる山菜といえば、明日葉(あしたば)。島に自生する明日葉はクセのある山菜ですが食材となり、離島全般で提供店があります。
代表的な食べ方は天ぷらで、油で揚げることでクセが緩和されて食べやすい山菜天ぷらになります。
粉末状に加工するのも一般的で、蕎麦やうどんの麺に練り込むことや野草茶などで飲むような楽しみ方もあります。
16.トコブシ(離島全域)

殻長が7cm前後という大きさで巻貝の一種となるトコブシ。鮑(あわび)に似た生き物として大型のアワビの子どもと見た目が似ており、貝の内側は真珠のような光沢があります。
日本固有亜種として日本全国の岩礁浅海域に生息していますが、特に伊豆諸島では定番の貝類として旅館や食事処などで用意されているところが多いです。
煮付けが定番で、塩蒸しや酒蒸しにバター焼きなど熱を通す食べ方が多め。刺身だと当たることがあると言われ、漁獲してすぐの活け造りで食べるのが基本となります。
また、フクトコブシという種類は日本でも九州南部以南の温暖な地域にのみ存在し、伊豆諸島では八丈島に多く分布しています。
17.くさや(離島全域)
くさやの中でもトビウオのくさやが大好きです!#伊豆大島 #トビウオ pic.twitter.com/Ilk0hkCtnT
— トウオンデザイン (@to_on_island) 2020年5月11日
クサい料理の代表としても扱われる、伊豆諸島を代表する特産品となる魚類の干物。名前の由来は「臭い魚」の意味で、新島における方言「クサヨ」が転じたもの(諸説あり)。
伊豆諸島で獲れるムロアジ類やトビウオ類などの魚を使用し、魚醤に似た発酵液「くさや液」に浸した後に天日干しをしたものです。生でも食べられ、焼いて食べるのが一般的。
その臭さは銀杏のような不快臭と表現され、他にも焦げ臭やアンモニア臭とも言われるほど。参考となる臭さの基準値だと鮒ずしと同レベルで、焼くと約3倍の臭さになるとも。
伊豆諸島の中でも新島で生産が盛んで、くさやの加工団地があります。他にも八丈島、伊豆大島、三宅島などで生産されるとともに、小笠原諸島の父島でも作られています。
18.はんば海苔チャーハン(離島全域)
はんばチャーハンセット
島の特産はんば海苔 pic.twitter.com/Vc954uZKuT— ヒロ (@maruhiro527) 2017年3月22日
伊豆諸島の特産品のひとつとなる海苔(のり)といえば「はんば海苔」。日本では太平洋側に広く分布しており関東の港町に多く、一般的にはハバノリと呼ばれます。
アサクサノリより面積が大きく幅があることが名前の由来で、独特の苦みとえぐみに塩辛さと磯臭さが特徴。
伊豆諸島では白飯にあわせて炒める「はんば海苔チャーハン」「ハンバめし」の食べ方が好まれ、磯の香りが口いっぱいに広がる港町ならではのチャーハンです。
もとはアサクサノリの代用品として作られたもの。生産地での消費がメインで、他地域への流通となると値段が跳ね上がる高級食材として扱われています。
19.べっこう寿司、べっこう丼(伊豆大島)

唐辛子醤油に漬けた魚の切り身「べっこう」は、寿司や丼で楽しむ伊豆諸島の郷土料理です。
島とうがらしと呼ばれる青とうがらしを用いた唐辛子醤油を用いることで、べっこう色のツヤある身になることが名前の由来。
島で採れる鯛、マグロ、サーモンなど様々な魚で作られ、20分ほど漬けて完成。握り寿司として提供されるほか、漬け丼のスタイルで食べるのも一般的です。
20.島寿司(八丈島、小笠原諸島)
八丈島といえば、島寿司!アカサバとメダイの身が大きくておいしい。。八丈の魚を使った宿の料理もすばらでした。一泊1300円はバグってる… #ビールクズ旅 pic.twitter.com/fmG3Tenb1d
— 内藤新宿 (@fm_take) 2020年12月4日
伊豆大島のべっこう寿司と似ている、八丈島の郷土食「島寿司」。こちらも握り寿司の一種で、べっこう寿司と同列に呼ばれることもありつつ伊豆大島とは少し異なります。
薄く切った魚を寿司ダネとして醤油主体のタレに軽く漬けて、砂糖で甘味を付けた酢飯で握るもの。握り寿司だけでなく漬け丼として食べるのも一般的。
戦前にワサビが手に入らなかった歴史から、握る際にはワサビではなく粉がらしを練った「練りがらし」を使用する文化が定着しています。
使用される魚は島で水揚げされる白身の魚が多く、鯛、マグロ、カツオ、カジキ、シイラ、トビウオ、イサキ、カンパチなどなど。
小笠原諸島でも島寿司が作られており、これは八丈島など伊豆諸島からの移住者が伝えたものと言われています。小笠原諸島ではサワラを使うのが一般的です。
21.麦雑炊(八丈島)
まずは空港で 麦雑炊 #八丈島 pic.twitter.com/wGBxrhp8v8
— エノモトメグミ (@enoMeg3) 2017年9月18日
八丈島で古くから食べられている郷土料理の麦雑炊(むぎぞうすい)。米ではなく麦を使用した雑炊は、米粒より少し大きく硬めで弾力ある食感の麦ご飯粒が特徴。
店によって使う材料は様々。島で採れる里芋、シイタケ、ショウガ、明日葉、岩海苔などの材料を活用しつつ、ゴボウ、ニンジン、きくらげなども。貝類を入れることもあります。
味付けも味噌仕立てや醤油仕立てなど色々。
まとめ
情報があふれる東京では、なかなか郷土料理にスポットが当たりにくいもの。それでも、こうして調べてみると下町ならではの馴染みのある料理も多いものです。
以上、東京都全般のご当地グルメ特集でした。