
神話の国として出雲大社を有する島根県。出雲そばを筆頭に和風の上品なグルメが多いです。
松江から出雲にかけて広がる宍道湖では宍道湖七珍と呼ばれる七種類の魚介類が名物で、湖や海の幸にも恵まれています。
また、しまね和牛として総称される幾つかの和牛もあり、島根ワインと奥出雲ワインを添えて肉を楽しむのも乙なもの。
今回は日本らしさ溢れる和を感じさせる、島根県のご当地グルメを紹介していきます。
島根県のグルメ分布図
島根県のグルメはこんなに豊富!番号順に紹介していきます。

県全域のグルメ
まずは特定の市町村ではなく県全域のグルメを紹介します。
01.割子そば

江戸時代の弁当箱を由来とした、三段や五段の丸い漆器「割子」に蕎麦が盛られたもの。
とろろ、山菜、ネギ、海苔などの薬味が付き、割子の蕎麦に冷たいつゆをかけて食べます。
もともとは出雲大社を発祥とする出雲そばの代表的な食べ方ですが、出雲地方広域に加えて鳥取県西部でも「割子そば」の名で提供されます。
02.釜揚げそば

鍋や釜で茹でた蕎麦を水洗いせず、茹で汁(そば湯)とともに蕎麦を器に入れたもの。
ネギや海苔などの薬味を乗せて、つゆで味を整えて食べます。
出雲大社の神在祭で体を温めるために食べたのが由来とされますが、これも現在は広く島根県や鳥取県西部で提供される食べ方です。
03.しまね和牛

島根県で生産される黒毛和種。出雲地区のいずも和牛、隠岐島の隠岐牛、石見地区の松永牛などを総称して「しまね和牛」と呼ばれています。
古くから中国山地のたたら製鉄の輸送のために牛が使用されて、昭和30年代に肉牛へとシフトしていった歴史があります。
松江市のグルメ
島根県の中心地として宍道湖(しんじこ)の東に位置する松江(まつえ)市。
04.むし寿司

具を混ぜ込んだ酢飯を木桶に入れて、上から数種類の具材を乗せて蒸したちらし寿司の一種。
冬の定番として位置づけられていますが、通年楽しめるお店もあります。
元祖となるのが明治20年創業の浪花寿司で、海老やうなぎが乗ります。
05.ぼてぼて茶

茶の花を入れて煮出した番茶を大きめの茶碗に注いで、独特の長い茶筅で泡立てたお茶。ボテボテと音を立てて泡立てることが名前の由来。
お茶の中にご飯、椎茸、豆腐、黒豆、乾瓢、沢庵などの漬物類を入れてから飲むのが特徴です。
たたら製鉄の職人が片手で食事を流し込むために考案されたなど、発祥の由来は諸説あります。
06.松江おでん

松江はおでん屋さんが多く、赤ちょうちんを掲げて一年中提供するのが魅力の松江おでん。
セリ、春菊、菜の花などの葉モノが入るのが特徴で、具材も大きい傾向。
ダシは店にもよりますが、アゴ(とびうお)で取るのが主流です。
07.玄丹そば

松江産の蕎麦のことを「玄丹そば」と呼び、そばの実を先端の顛(てん)が付いたまま製粉することで濃い色で香り高い蕎麦が特徴。
出雲そばから派生したと言われ、1997年に減反による休耕田を使用したことと江戸時代末期に松江藩を救った玄丹にかけて命名されたもの。
創業100年以上の老舗もある松江市でも「割子そば」や「釜揚げそば」の食べ方が定番。
【提供店一覧】 さんいん旅ねっと 玄丹そば店舗一覧
【店舗分布】 松江市に組合加盟店14店舗
出雲市のグルメ
出雲大社を有する出雲(いずも)市。
08.出雲そば

出雲地方で広く食べられている三大蕎麦のひとつ「出雲そば」。そばの実を皮ごと石臼で挽くことで黒色に近い濃い色の蕎麦になるのが特徴。
出雲そばの代表的な食べ方として、出雲大社の発祥となる前述の「割子そば」と「釜揚げそば」があり、一般的なかけそば、ざるなどもあり。
09.出雲ぜんざい

ぜんざい発祥の地、出雲。八百万の神が集まる出雲で行われる神在祭(かみありさい)で振る舞われた神在餅(じんざいもち)が由来です。
江戸時代から存在したことが文献にも残り、京都へ伝わったと言われています。
【提供店一覧】 出雲ぜんざい学会 食べ歩きマップ
【店舗分布】 出雲市19店舗、松江市2店舗
10.鯖しゃぶ

生の鯖(さば)をしゃぶしゃぶとして鍋にくぐらせて食べる、鯖しゃぶ。
出雲市の三津港の漁師が考案した料理とされており、出雲市や山陰でいただくことができます。
痛みやすい鯖を新鮮に食べる方法で、お店によっては甘さが特徴の甘露醤油やダシの鍋を使用することもあります。
11.多伎いちじく

出雲市多伎町の名産、いちじく。全国的に希少な品種となる蓬莱柿(ほうらいし)の産地で、多伎いちじくと呼ばれて出荷されます。
潮風の強い多岐で育ったいちじくは多くのミネラルや食物繊維を含み、小ぶりで強い甘みが特徴。
8月中旬~10月が生食の旬で、通年楽しめる加工品の製造も盛んです。
奥出雲町(仁多郡)グルメ
12.仁多牛

古くから農耕用の役牛として生活に深く関わっていた奥出雲の牛。しまね和牛のひとつ「仁多牛」は仁多地方の名牛です。
和牛改良の歴史において多くの優良牛の土台を成した母牛「大七糸桜号」は、仁多町三成で産まれた牛として高い名声を誇ります。
13.奥出雲ポーク

神話の里、奥出雲の山の中で育成された銘柄豚。
安全性にこだわった飼料と衛生面にも気を配った管理で育てた豚は、保水性が高くて旨みをしっかり保ったジューシーさが特徴。
浜田市のグルメ
14.赤天

魚肉すり身に赤唐辛子を練り合わせて、パン粉をまぶして揚げたもの。揚げかまぼこの一種。
ハムカツが高級品だった時代に代用品として考案された浜田生まれの製品です。
製造業者は浜田市に数社あり、他の市にも製造業者があり島根県内のスーパーで広く売られています。
津和野町のグルメ
島根県の西部に位置し、JR山口線の終点として山口県の観光雑誌にも紹介される津和野(つわの)。
15.うずめ飯

賽の目に切った人参、椎茸、ごぼう、高野豆腐などを醤油ベースで味付けして丼に盛り、上からご飯を乗せてダシをかけて食べる郷土料理。
ご飯の下に具材があることから「うずめ飯」と呼ばれ、ご飯の上には刻み海苔、三つ葉、ワサビなどの薬味が乗ったシンプルな見た目です。
由来は諸説ありますが、江戸時代に倹約令が出されたときに御馳走を隠れて食べるために具材をご飯の下に隠して食べたと言われています。
16.つわぶき

津和野の地名の由来ともなった、山菜のような多年草のつわぶき。現在では津和野での採取量も少ないようですが、提供する店舗もあります。
同じキク科のフキと特徴が似ています。
石見エリア広域のグルメ
17.えびす丼、大黒めし

石見では「神楽めし」と称して、4市2町が協同した地元産グルメを楽しむことができます。
その中で、石見で漁獲された魚を盛り付けた「えびす丼」を提供するお店が多く、各店で様々な素材が使用されています。
石見の特産品を使用した「大黒めし」も楽しめます。
【提供店一覧】 石見観光振興協議会 神楽めし店舗一覧
【店舗分布】 大田市5店、江津市3店、浜田市7店、益田市5店、津和野町1店
18.オロチ丼

石見の「神楽めし」のひとつ、石見エリアの肉類を使用した「オロチ丼」。
各店独特な盛り付けで、石見和牛、江津まる姫ポーク、ケンボロー芙蓉ポーク、石見ポーク、益田産牛、さらには猪を楽しめるお店も。
【提供店一覧】 石見観光振興協議会 オロチ丼店舗一覧
【店舗分布】 大田市1店、江津市7店、浜田市4店、益田市3店、邑南町2店
19.瓦ぬご縁

建物の屋根に使用される石州瓦(いしゅうがわら)を用いて、石見エリアの肉類と野菜類を焼いて楽しむ「瓦ぬご縁」も神楽めしのひとつ。
江津まる姫ポーク、ケンボロー芙蓉ポーク、松永放牧牛、石見ポーク、さらには真イカを焼いて楽しめるお店も。
【提供店一覧】 石見観光振興協議会 瓦ぬご縁店舗一覧
【店舗分布】 大田市1店、江津市2店、浜田市3店
20.ぼべ飯

磯の岩に張り付いた、小さなカサガイ類の巻き貝「ぼべ貝」。炊き込みご飯として食べるのが一般的で、ぼべ飯(ぼべめし)と呼ばれます。
貝を茹でてから手作業で丁寧に殻を取り、醤油、酒、みりんなどで味付けをしてご飯炊き。
黒い肝の部分は取り除かずに使用することで、旨みと磯の香りがたっぷり。島根県西部の沿岸で夏の家庭料理です。
筆者のおすすめ
お茶漬け感覚でジワッとくるダシの旨さを楽しめる「うずめ飯」が美味しくてオススメですが、シンプルなわりに値段は高めです。
出雲そばも好きですが、お店によって蕎麦の良し悪しが大きく分かれます。有名店が大して美味しくなかったケースや、隣県の鳥取県のお店で提供される出雲そばが美味しかったケースなどもあり、一概に出雲地方のお店が美味しいとは言い切れません。
まとめ
出雲そば、ぼてぼて茶、出雲ぜんざい、むし寿司、うずめ飯など、日本人の和食の文化を色濃く感じる郷土料理がしっかり今に至って提供されている島根県。
特に出雲そばは出雲市を中心に出雲から鳥取県まで広く提供されている名物です。
以上、島根県全般のご当地グルメ特集でした。
(初回投稿日:2018年1月5日 更新日:2018年8月9日)