金刀比羅宮や善通寺など四国霊場の参拝として名高い香川県ですが、どのようなグルメがあるでしょうか?
うどんばかりに目が向けられていますが、瀬戸内海に面した港町で天然や養殖の魚を楽しめるだけでなく小豆島の醤油やオリーブなどの名産も。
今回は香川県の旅行者に向けて、香川県の飲食店で楽しめるご当地グルメを紹介します。
セシモ コイ
香川県のグルメ分布図
香川県のグルメはこんなに豊富!番号順に紹介していきます。
A.香川県全域のグルメ
01.讃岐うどん かけうどん(県全域)
県全域で提供される香川県を代表するグルメ、讃岐うどん。カタクチイワシの煮干し「イリコ」を主に使用してとる関西風ダシと、コシが強くて太いうどんが特徴です。
ポピュラーな食べ方として地元民も食べるのが、かけうどん。
たっぷりの温かいダシ汁にうどんと各種具材が乗り、旨みある汁をしっかり楽しめます。
02.骨付き鳥(県全域)
鶏肉を骨付き1本まるごと焼きあげた、香川県定番の鳥料理「骨付き鳥」。1950年代に丸亀市の飲食店でフライドチキンをヒントに考案したメニューとされています。
調理法はお店にもよりますが、オーブン釜などでふっくら焼き上げてニンニクやスパイスで味付けするのが定番。パリッとした皮も特徴のひとつです。
硬い歯ごたえで噛むたびに味わい深い「親どり」と、柔らかい肉質でジューシーな「若どり」の2種類を用意するお店が一般的。親どりはカット用のハサミを用意してくれるお店も。
キャベツ添えで出てくることが多いのも特徴。鶏のサイドメニューを用意しているお店もあり、鶏めし、鶏皮酢、鶏ガラスープなど充実した鶏料理を付けて楽しめます。
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[店分布] 高松市、丸亀市などに数十店舗
[推奨店] 鳥長 – 骨付き鳥と鶏だし茶づけが旨い居酒屋
03.あん餅雑煮(県全域)
いりこダシに白味噌で仕立てた味噌汁に、小豆あんの入った丸餅と野菜類を入れた郷土料理。正月におせちと一緒に食べる香川県ならではのお雑煮(ぞうに)です。
江戸時代後期、庶民にとって高級品だった砂糖を正月だけでも楽しめるようにと考案。高松藩が栽培を推奨したサトウキビからとれる白下糖を使用したのが始まりです。
餅に使用する小豆あんは砂糖などで味付け。具材は大根とニンジンが定番で、里芋、ごぼう、油揚げなどを用いることもあります。青のりや青ネギを上に乗せて完成。
基本は正月料理ですが、観光向けとして通年提供する飲食店もあります。高松市をはじめとした県東で主に提供されており、丸餅や赤味噌を使用する地域も。
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[店分布] 高松市内など数店舗
[推奨店] 桃太郎茶屋 – 屋島の夜景展望地にある民芸風の茶屋
04.しょうゆ豆(県全域)
乾燥したそら豆を炒った後に、醤油やみりんなどで調合したタレに一晩ほど漬けて作る料理。
大きさや色は黒豆のように見えますが、甘さは控えめで醤油による塩気と香りを楽しめます。
05.和三盆スイーツ(県全域)
主に香川県や徳島県で古くから生産されている砂糖「和三盆」は、特に高級和菓子に使用されることが多い高級砂糖。最近では観光地の甘味などスイーツグルメでも楽しめます。
徳島県の「阿波和三盆糖」と香川県の「讃岐和三盆糖」があり、淡い黄色の細かい粒は口溶けが良くてまろやかで上品な味わいの砂糖です。
江戸時代に徳川吉宗が推奨したサトウキビの栽培に対して、高松藩が賛同して栽培をはじめた上で精糖方法も確立。盆の上で砂糖を三度研ぐ製法が名前の由来です。
香川県の有名観光地の栗林公園や金刀比羅宮の参道では、カラフルな菓子「おいり」を沢山くっつけた和三盆ソフトクリームが人気です。
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[店分布] 県内に数十店舗
[推奨店] かにわしタルト店 – 喫茶スペースで和三盆タルトを
06.讃岐牛、オリーブ牛(県全域)
香川県で飼育された血統明確な黒毛和種で、肉質など一定基準を満たした讃岐牛。
温暖な気候風土において約30か月かけて、霜降り肉になるよう育てられます。最近ではオリーブを飼料として与えて育てたオリーブ牛も。
全国的にも歴史の古い讃岐牛は、明治15年頃に小豆島で肥育をしたのが始まりと言われます。
07.讃岐コーチン、オリーブ地鶏(県全域)
香川県は種鶏の生産が盛んなこともあって肉用鶏の改良が進められ、平成5年に中国原産のコーチンをもとに誕生したのが「讃岐コーチン」。
ブロイラーより長い期間じっくり飼育し、適度な歯ごたえ、豊かなコク、低脂肪で栄養豊富な肉質に仕上がります。
また、オリーブを飼料に加えて鶏に与えて飼育した「オリーブ地鶏」もあり、ブランド化として「瀬戸赤どり」として提供されることも。
08.オリーブ夢豚、オリーブ豚(県全域)
香川県のブランド豚で、飼料にオリーブを混ぜて育てた豚。
肉質の良さに定評があるイギリスのバークシャー種をもとに開発した「オリーブ夢豚」と、香川県産の豚から生まれた「オリーブ豚」の2種類があります。
オリーブ採油後の果実を加熱乾燥した飼料を豚に与えることで、口の中で甘くとろける肉質に変化してあっさりした味わいに仕上がります。
保水力が高くて肉汁を豊富に含み、厚切りのステーキやトンテキなどで食べるのに向いているもの。
09.讃岐うどん ぶっかけうどん(県全域)
讃岐うどんならではの食べ方として、かけうどんより濃いダシ汁をうどんに直接かけて食べる「ぶっかけ」という食べ方も定番のひとつ。
茹でた後に冷水で締めたうどんで、冷たい汁をかけるタイプと温かい汁をかけるタイプそれぞれあります。
10.讃岐うどん 釜揚げうどん(県全域)
茹でた麺を冷水で締めずにお湯の入った器に入れたまま提供され、つけ汁につけて食べる方法。
ざるうどんを温かくしたタイプの食べ方で、茹で釜から引き揚げた麺をそのまま提供することが名前の由来となっています。
麺を締めないことでモチモチとしたうどんの食感を楽しめます。
11.讃岐うどん カレーうどん(県全域)
コシの強さといりこダシの旨さが特徴の讃岐うどんですが、お店によっては一般的なカレーうどんを用意しているところもあります。
トロッとした汁もあればサラッとした汁もあり、関西で定番の青ねぎトッピングや揚げ玉トッピングを楽しめるお店もあります。
12.しっぽくうどん(県全域)
数種類の季節の野菜を汁とともに煮込んだ、具材豊富なかけうどん。大根、にんじん、油あげ、ねぎ、里芋、しめじ、などの具材が入ります。
讃岐の冬の名物として、秋から冬にかけて寒い時期によく食べる郷土料理。年越しそばの代わりに食べる家庭もあるとか。
卓袱(しっぽく)とは食卓の意味。大皿に豊富な具材を盛り付けて豪華な食卓にした長崎県の卓袱料理が由来とされ、卓袱料理のうどんが香川に伝わったと言われます。
13.いりこ天ぷら(県全域)
イワシで作る煮干しのことを「いりこ」と呼び、特にカタクチイワシを茹でて干して作るのが一般的。香川県は全国有数のいりこ産地で、瀬戸内海が産んだ味覚。
主な漁場は西讃エリアの燧灘(ひうちだな)で、大型の網を2隻でひいてイワシの群れを網に追い込む形で漁獲。鮮度が落ちやすく、伊吹島で素早く加工することで高品質を確保。
讃岐うどんや味噌汁のダシに使われるので有名ですが、天ぷらで食べるのも定番で讃岐うどん屋のサイドメニューとして用意しているお店もあります。
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[店分布] 県内に数十店舗
[推奨店] 居酒屋 萬月 – 伊吹島のいりこ天ぷらにお酒を添えて
B.県西(西讃)地域のグルメ
秩父ヶ浜・銭形砂絵・豊稔池ダムのある県東地域(三豊・観音寺)のご当地グルメを紹介。
14.たこ判(三豊市)
たこ焼きで用いられる具材を、大判焼き(今川焼)の型で焼いたスローフード。溶いた小麦粉の液にタコを入れて両面焼き上げる、たこ焼きの見た目で大きいサイズが特徴です。
お店にもよりますが刻みキャベツを入れるので、たこ焼きというよりはお好み焼きに近い味といえます。ソースを塗って食べるもので、好みでマヨネーズを付けて食べるのもあり。
発祥店とされているのが、三豊市にある「たこ判小前」。食べ盛りの学生のお腹を満たすために考案したメニューとして、学生から支持を得て広がったものだそうです。
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[店分布] 三豊市に数店舗、県内に数店舗
[推奨店] たこ判 小前 – 発祥店で卵たこ判やタイ焼き
15.讃岐ラーメン(三豊市、高松市)
讃岐うどんのダシに使用する定番の煮干し「いりこ」を、ラーメンスープのダシとして使用したラーメン。近年「讃岐ラーメン」の呼称で展開されています。
昭和61年に開業した香川県西部の地魚炉端焼き居酒屋「盛」が発祥と言われ、メニューのひとつとして人気だったラーメンをもとにラーメン専門店をオープン。
うどんが圧倒的に支持される文化圏にて苦戦しつつ、うどん麺の特色を中華麺に取り込むなど工夫。そして1999年に店名を「はまんど」に改名し、今や話題のラーメン店に。
三豊市「はまんど」の姉妹店「浜堂」が高松市などにも数店舗を展開。他には「伊吹いりこセンター」や、小豆島の醤油にいりこダシを合わせた「讃岐ロック」など広がりを見せます。
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[店分布] 三豊市に数店舗、県内に数店舗
[推奨店] はまんど – 発祥店でいりこダシが旨い中華そば
C.県央(中讃)地域のグルメ
金刀比羅宮・ゴールドタワー・坂出工場群のある県東地域(丸亀・坂出・善通寺・宇多津・綾川・琴平・多度津・まんのう)のご当地グルメを紹介。
16.ぴっぴ飯(坂出市)
白ご飯に刻んだうどんを混ぜて炒めた、焼きめしタイプの家庭料理。さぬきうどんのダシでも使用される「いりこダシ」で味付けし、少し汁気のある出来上がりが特徴。
具材は店により異なりますが、刻んだたくあんが入るのが定番。もやし、玉子などが用いられ、青ネギ、刻み海苔、かつお節、福神漬けなどが添えられます。
ぴっぴ、というのは香川県の方言でいわゆる幼児語。製麺所が多い坂出市において、昭和期に冷蔵庫の余りものを使用して作られていた料理とされています。
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[店分布] 坂出市に4店舗、東京都新宿区に1店舗
[推奨店] あつし亭 – ロードサイドの家庭的な居酒屋でぴっぴ飯を
17.鍋ホルうどん(多度津町)
醤油ベースのダシにホルモンと野菜を入れてしっかり煮込んだ、ご当地のかけうどん。赤味噌のようにも感じられる味わいは、ニンニクやたまり醤油を使用したもの。
キャベツ、ネギ、タマネギ、ニラなどを主体とした野菜にしっかり熱が通り、さぬき系のコシのある太いうどんが入った熱々の汁が特徴。
JR四国工場の前身となる旧国鉄の多度津車両工場の労働者を相手にして、肉屋さんが考案して提供した鍋ホルモンが由来。
鍋の〆にうどんを入れた当時のメニューが人気で、その鍋ホルモンのうどんをご当地グルメとして復刻したのが当メニューです。
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[店分布] 多度津町に3店舗
[推奨店] ひろ濱うどん – 多度津の讃岐うどん店でホルモンかけうどん
D.県東(東讃)地域のグルメ
栗林公園・屋島・テアトロンのある県東地域(高松・さぬき・東かがわ・三木)のご当地グルメを紹介。
18.ハマチ、オリーブハマチ(高松市)
1928年に世界初のハマチ養殖の事業化を成功させた香川県では、養殖ハマチとさらに成長させた養殖ブリを出す飲食店があります。
さらに、2008年から香川県産のオリーブの葉を混合した飼料で養殖したハマチを「オリーブハマチ」としてブランド化。
オリーブハマチの一大産地は高松市にある港町の庵治町(あじちょう)。炙り丼や漬け丼などで楽しむことができます。
E.離島のグルメ
エンジェルロード・寒霞渓・醤油記念館のある離島(土庄・小豆島・直島)のご当地グルメを紹介。
19.醤油、佃煮(小豆島)
全国的に醤油の生産量が多い、香川県の小豆島。
小豆島にはたくさんの醤油蔵が並び、醤の郷では醤油の香りがただよいます。木桶仕込みが今でも続く歴史ある醤油醸造の街です。
戦後の食糧難を支えたともいわれる小豆島の佃煮も名物。醤油を使用した佃煮の工場もあり、お土産や飲食店で楽しむことができます。
20.ひしお丼(小豆島)
小豆島の名所「醤の郷(ひしおのさと)」で作った醤油やもろみを使用し、小豆島の魚介や野菜など地元産食材を使用したご当地どんぶり。
醤(ひしお)とはペースト状の調味料や味の濃い食品の総称。穀物の大豆を原料とする醤油や味噌は穀醤(こくしょう)に区分されるもので、小豆島が得意とする醸造物です。
具材は店によって様々で、魚介類を使用するお店が多め。鯛、穴子、たこ、ハマチ、鯵、ままかり、コノシロ、ハモなど豊富な瀬戸内海の魚を乗せた丼です。
肉類として豚肉やオリーブハンバーグなどを使用するお店もあり、野菜であれば大根、わかめ、ねぎ、大葉、みょうが、生姜など島の恵みたっぷり。
箸休めとして小豆島名産の「オリーブ」か「つくだ煮」を添えることを島でのルールとしています。
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[店分布] 小豆島に26店舗ほど
[推奨店] 大阪屋 – 新鮮な地魚に島醤油をかけて楽しむひしお丼
21.小豆島オリーブ料理(小豆島)
日本のオリーブ栽培の発祥地として、100年以上の歴史を持つ小豆島。国産オリーブオイルの一大生産地として栽培、加工が行われています。
小豆島オリーブ園などオリーブの実のなる木が観光スポットに。オリーブの実はピクルスなどにも加工でき、塩水に付け込んだ浅漬け風の「新漬けオリーブ」も小豆島の人気お土産です。
現地での食べ方としては、オリーブを使用した緑色のソフトクリームが定番。オリーブの実を乗せたパスタもあり、麺にオリーブを練り込んだそうめんやパスタ麺もあります。
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[店分布] 小豆島に数店舗
[推奨店] 小豆島オリーブ園 – オリーブソフトとオリーブ料理
まとめ
ひとくちに「うどん」と言っても、いろいろな食べ方がありそれぞれで発祥店が異なるなどバリエーション豊富な讃岐うどん。
瀬戸内海の魚としてハマチ養殖を筆頭に魚介類を楽しめて、一方で讃岐牛など畜産もしっかり用意されています。
以上、香川県全般のご当地グルメ特集でした。