教会群や夜景で有名な長崎市をはじめとして、港町を多く有する長崎県。
古くから貿易で栄えた街としてポルトガルや中国から伝来した料理や菓子が多く、全国的に有名なグルメが豊富です。
今回は長崎県の旅行者に向けて、長崎県の飲食店で楽しめるご当地グルメを紹介します。
セシモ コイ
長崎県のグルメ分布図
長崎県のグルメはこんなに豊富!番号順に紹介していきます。
A.長崎県全域のグルメ
まずは県全域で楽しめるグルメを紹介します。
01.長崎ちゃんぽん(県全域)
白濁した豚骨ダシに鶏ガラなどで仕立てたスープに、太くて柔らかいちゃんぽん用の麺と炒め野菜が乗った長崎県ご当地の麺料理。
中国福建省の料理「湯肉絲麺」をベースにして、1899年に長崎市の中華料理店「四海樓」の店主が中国人留学生向けに考案したのが有力な説です。
長崎ちゃんぽんをヒントに九州豚骨ラーメンのスープが考案されたとも言われ、長崎ちゃんぽんのスープは豚骨の臭みを出さない傾向。店により豚骨主体と鶏ガラ主体に味が分かれます。
具材はキャベツ、もやし、ネギ、ニンジンなどの野菜類、豚肉と紅白かまぼこが定番。イカ、エビ、アサリなどの魚介類を入れることもあり、具材をラードで炒めるのも特徴です。
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[店分布] 県内に数百店舗
[推奨店] 四海楼 – 山手地区で発祥のちゃんぽんを楽しむ
02.長崎皿うどん 細麺(県全域)
油で揚げたパリパリの細麺にあんかけの野菜をかけた、長崎県ご当地の麺料理。長崎ちゃんぽんを出前でも運べるように、あんかけ式にアレンジしたのが発祥とされます。
具材は長崎ちゃんぽんと近く、キャベツ、もやし、ネギ、ニンジンなどの野菜類、豚肉と紅白かまぼこなど。イカやエビなどの魚介類、コーンやキクラゲなど店それぞれの特色が出ます。
あんかけは豚骨や鶏ガラでとったスープを具材とともに煮て、水溶き片栗粉でとろみを付けて完成後に細麺の上にかけます。かた焼きそばに近く、麺を箸でくずして具材に絡めて食べます。
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[店分布] 県内に数百店舗
[推奨店] 西湖 – 長崎新地中華街で白濁あんかけ皿うどん
03.長崎皿うどん 太麺(県全域)
長崎県の皿うどんは先述の細麺だけでなく太麺もあります。長崎市を中心とした県南や他県では細麺が主流とされる一方、県北では太麺が主流という傾向があります。
具材は細麺の皿うどんと同じく野菜、豚肉、魚介類など。太麺の場合は調理法が様々で、事前に蒸すか茹でた麺を具材とともにスープが残らなくなるまで炒める方式が多いとされます。
ちゃんぽん用の中華麺が主に用いられ、麺に焼き目を付ける店も。あんかけは醤油で味を整えて出す場合もあり、提供後に好みでウスターソースや酢をかけて食べるのも現地では一般的です。
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[店分布] 県内に数百店舗
[推奨店] やまと – 大村市で大村寿司付きの太麺皿うどん
04.トルコライス(県全域)
トンカツ、炒め飯、スパゲッティが1つの皿に乗った、長崎県の洋風料理「トルコライス」。ワンプレートで3つの味を楽しめて、サラダもプレートに盛り付けられることが多いです。
トンカツはデミグラスソース掛けが定番で、スパゲッティはナポリタンが一般的。炒め飯はピラフ、カレーピラフ、サフランライスなどお店により様々です。温泉卵が乗ることも。
料理の発祥と名前の由来は諸説あり、ピラフがトルコ料理説、3色を意味するトリコロール説、トルコに似た多文化共生料理説、イタリアとインドの架け橋説など様々です。
主に長崎市のグルメとも言われますが、長崎市に限らず県内で広く提供されています。
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[店分布] 県内に百店舗前後
[推奨店] とっとっと – ハウステンボス内の洋食レストラン
05.ミルクセーキ(県全域)
一般的なミルクセーキは牛乳、卵黄、砂糖で作る飲み物ですが、長崎県ではさらに氷(かき氷)を入れる独特の作り方。シャーベット状になり、スプーンで食べるのが特徴です。
九州最古の喫茶店と言われる長崎市の「ツル茶ん」が、長崎の猛暑を乗り越えるため1928年に考案したとされます。
店によってバニラエッセンスの使用有無など味付けが異なり、てっぺんにサクランボなどを乗せる場合も。古くは夏のみ提供でしたが、今は観光向けに通年提供されています。
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[店分布] 県内に百店舗前後
[推奨店] 青い理髪舘工房モモ – 島原の洋館でカフェメニューを
06.カステラ(県全域)
卵、小麦粉、砂糖や水飴を混ぜた生地を型に入れて、オーブンで焼き上げた和菓子。
通常のプレーンに加えて抹茶やチョコレートなどの味が付いたものもあり、メーカーにより大粒の砂糖「ざらめ」が付着したものもあります。
ポルトガルから長崎へ伝わった南蛮菓子をもとに長崎市の福砂屋が作った銘菓と言われ、スペイン語で城を意味する「castillo」が名前の由来。
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[店分布] 県内に数十店舗
[推奨店] ニューヨーク堂 – めがね橋近くでカステラスイーツ
B.県西(長崎)地域のグルメ
グラバー園・稲佐山展望台・野母崎のある県西地域(長崎市・時津・長与)のご当地グルメを紹介。
07.角煮まん(長崎市)
タレの染みた豚バラ肉の角煮をパン生地で包み挟んだ、中華まんタイプの蒸しまんじゅう。長崎新地中華街の定番メニューで、長崎空港など県内各地の飲食店や食べ歩きで楽しめます。
長崎の卓袱(しっぽく)料理の一品としても有名な中華料理の東坡肉(トンポーロー)を、もっと手軽に楽しめるよう岩崎本舗の初代店主が考案した中華点心の料理です。
タレの味付けは店により異なりますが、醤油をベースとして味噌を加えたタレに豚バラ肉を入れて煮込みます。
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[店分布] 市内に数店舗
[推奨店] 岩崎本舗 西浜町店 – 発祥のお店で楽しむ角煮まん
08.長崎ハトシ(長崎市)
エビのすり身を食パンで挟んで、油で揚げた料理。もとは中国の広州にある蝦多士(ハートーシー)という料理で、エビのトーストという意味です。
エビ以外に魚のつみれ、はんぺん、豚肉を使用することもあります。元は長崎市の宴会料理となる卓袱(しっぽく)料理の一品で、現在は中華料理店や居酒屋などでも注文できます。
明治時代に貿易で中国(当時は清の国)から長崎へ伝わった料理と言われています。
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[店分布] 県内に数十店舗
[推奨店] 漁火 – ろばた焼き居酒屋でハトシもあり
09.卓袱料理(長崎市)
卓袱(しっぽく)料理とは長崎市発祥の宴会料理で、赤い円卓に大皿のコース料理を並べて数人で囲んで味わう形式の料理です。
和食、中華、洋食(主にオランダ)の料理が交じり合う和華蘭(わからん)料理とも呼ばれ、赤い円卓に薬膳思想の含まれた中国料理や日本の精進料理を元に考案されたと言われます。
通常は食前酒や鯛など魚の身のお吸い物から始まり、刺身や黒豆などの小菜、天ぷらや肉料理の中鉢、煮物や季節料理などの大鉢、水菓子や甘い椀という料理が順番に出てきます。
冠婚葬祭や地元家庭での仕出しで利用されるほか、一般でも楽しめる料亭や割烹が長崎市に数軒。円卓ではない簡易的な卓袱料理を夕食として出す旅館ホテルもあります。
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[店分布] 県内に十数店舗
[推奨店] 長崎卓袱浜勝 – 簡易から本格まで卓袱料理と海鮮が充実
10.シースケーキ(長崎市)
長崎市の名物としてケーキ屋や喫茶店にある、ショートケーキの一種となる独特なケーキ。
上に生クリーム、スポンジ生地の間にはカスタードクリームを使用し、イチゴではなく缶詰のシロップ漬けの黄桃とパイナップルを乗せるのが特徴です。
昭和30年代に長崎市の洋菓子屋「梅月堂」で販売されたのが始まりと言われます。
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[店分布] 長崎市に十数店舗、他地域にもあり
[推奨店] ケーキの西銀 – ラウンジ風の喫茶店でシースケーキを
11.長崎サラダ(長崎市)
皿うどんで使用される細麺を活用した、麺料理にも位置づけられるサラダ。皿うどんと異なり、炒めない生野菜を使用するのが特徴です。
パリパリに揚げた細麺が一般的に用いられ、生野菜を乗せてドレッシングなどをかけて完成。
もとは日本赤十字社長崎病院の食堂メニューで、2000年代に長崎市長が取り上げたことで市内の飲食店に広がったものです。
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[店分布] 長崎市内に十数店舗
[推奨店] 出島内外倶楽部 – 出島で長崎グルメ豊富なレストラン
12.びわ(長崎市)
全国の約35%とトップシェアをにぎる、長崎県を代表する果物「枇杷(びわ)」。収穫時期の4~6月が旬ですが、ハウス栽培も含めて1~6月に食べられます。
江戸時代に出島で中国人から種をもらって栽培したのが始まりと言われ、この品種は「茂木」と命名されて長崎県茂木地区を中心に栽培。
収穫時期には長崎市内のパティスリー(ケーキ屋)などでびわスイーツが登場。通年であれば、びわゼリーの購入やびわソフトクリームとして楽しめます。
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[店分布] 長崎市内に十数店舗
[推奨店] 茂木一○香本家 – びわ商品も扱う和菓子店
C.県央(諫早)地域のグルメ
白木峰高原・轟峡・長崎空港のある県央地域(諫早・大村)のご当地グルメを紹介。
13.楽焼うなぎ(諫早市)
楽焼(らくやき)と呼ばれる、独自の蒸し器に乗せるうなぎ蒲焼が諫早の名物。器の中に熱湯を張って焼いたうなぎ蒲焼を最後に蒸しながら客前に提供するものです。
ご飯は別添えとしてうなぎ単体で器に乗ってきますが、器により熱々に蒸しあがり保温もされるうなぎを柔らかく食べ進めていくことができます。
有明海に加えて諫早市の中心部を流れる本明川で良質のうなぎが獲れることから、江戸時代から続く老舗のうなぎ料理専門店が集う土地柄です。
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[店分布] 市内に数店舗
[推奨店] 北御門 諫早本店 – うなぎ料理のメニュー豊富な食事処
14.すっぽん料理(諫早市)
亀(かめ)の一種として高級栄養食にも位置づけられている、すっぽん。諫早市は国内有数のすっぽん養殖地で、市内の料理店で楽しむことができます。
まる鍋、雑炊など色々な食べ方があり、ダシを使用して各種料理に用いることもあります。
市内に約10軒ほど提供店があると言われていますが、実際に提供店が明確ではなく2軒ほどは確実に提供している様子です。
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[店分布] 市内に数店舗
[推奨店] 四季の蔵 食楽亭 – すっぽん料理が豊富な和の雰囲気の店
15.大村寿司(大村市)
大きい木箱に敷いた酢飯に魚の切り身やみじん切りの野菜を入れて、上に錦糸卵を散らした押し寿司。大人数用にまとめて作り、5cm角に切り分けて各人の皿に盛り付けて食べます。
戦国時代の1481年に大村の領主の大村純伊が、一度は奪われた大村の領土を奪還したお祝いに振舞われた料理が起源と言われます。将兵らが脇差しで四角に切って食べたのが今の形に。
具材は煮付けたごぼう、しいたけ、かんぴょうなどを使用し、大村湾でとれる海の幸を使用することも。砂糖による甘い味付けの傾向があります。
大村市で主に提供されていますが、かつて大村藩だった東彼杵郡や西海市にも定着。寿司店や飲食店に加えて、長崎空港のお土産店でも購入できます。
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[店分布] 市内に十数店舗
[推奨店] ぎおん – 大村寿司付き膳がある和食処
16.大村あま辛黒カレー(大村市)
豊富なスパイスに加えて大村で育った野菜やフルーツを使用した、甘辛く黒いルーのカレーライス。まちおこしとして登場した、大村市の新ご当地グルメです。
竹炭粉を使用することで真っ黒なルーになり、冷蔵保存しても深い味わいが持続します。店にもよりますが、具材に地元の黒田五寸にんじんを使用して鮮やかなオレンジ色を添えます。
古くから砂糖の運搬中継地だった「甘」、天正遣欧少年使節が1590年の帰国時にインドからカレースパイスを持ち帰った「辛」、黒土の土壌による「黒」の歴史から名付けられました。
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[店分布] 市内に10店舗ほど
[推奨店] エアポート – 長崎空港で大村カレーと長崎グルメが豊富
D.県東(島原)地域のグルメ
雲仙地獄・雲仙普賢岳・島原武家屋敷のある県東地域(島原市・雲仙・南島原)のご当地グルメを紹介。
17.小浜ちゃんぽん(雲仙市)
雲仙市の港町であり街中のいたるところから湯気が立つ温泉街でもある小浜。その小浜で大正時代から湯治客に人気だったのが、長崎市から伝わったちゃんぽん。
ちゃんぽん発祥地は長崎市ですが、長崎茂木港から蒸気船で小浜温泉へ来訪した湯治客の食事として小浜にも根付いたと言われています。
特に海鮮が豊富な小浜では、橘湾でとれた小エビやイカなど海鮮系の具材が多いのが特徴。豚骨に和風ダシも用いたあっさりスープで、生タマゴ入りとなる傾向があります。
寿司屋でも提供されており、寿司とちゃんぽんのセットも小浜らしい形です。今では長崎、天草とともに日本三大ちゃんぽんのひとつと言われています。
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[店分布] 雲仙市小浜温泉街に12店舗ほど
[推奨店] よしちょう – 具たっぷりの塩ちゃんぽんに入浴付き
18.雲仙ハヤシ(雲仙市)
かつて多くの外国人観光客が避暑に訪れた雲仙温泉では、デミグラスソースをかけた洋風のカツ丼を「ハヤシ丼」としてお昼に食べられていた歴史があります。
現在は、雲仙温泉の各施設でアレンジした「雲仙ハヤシ」としてご当地グルメ化。店によって様々な具材を用いて、ライスにデミグラスソースをかけたハヤシライスを提供しています。
長崎牛や雲仙牛を使用したお店もあり、カツとして揚げるお店もあれば煮込んでソースに溶け込んだものも。宿泊ホテルのシェフが手掛けるこだわりデミグラスのレストランもあります。
雲仙で採れた野菜を使用した雲仙ハヤシも多く、タマネギとじゃがいもが特に名物。卵乗せやオムライスにしたもの、根菜類やキノコをたっぷり乗せたものまで多彩です。
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[店分布] 雲仙市に約15店舗
[推奨店] 茶房 いま村 – 名産じゃがいも使用ハヤシライス
19.雲仙サラダ、雲仙スムージー(雲仙市)
島原半島では季節ごとに新鮮な野菜がたくさん採れて、雲仙市も名産地のひとつ。雲仙の温泉地から島原鉄道沿いなどに野菜を使用したグルメが色々あります。
雲仙市で新ご当地グルメとして銘打った野菜グルメが2つあり、ひとつは「雲仙サラダ」。地元産の根菜類にトマトや自家製豆腐など、各店ならではの素材を組み合わせたサラダです。
もうひとつは「雲仙スムージー」で、雲仙産の野菜と果物に乳製品を加えてミキサーにかけた栄養たっぷりのドリンク。ほうれん草、アロエ、マンゴーなど各店独自の素材で楽しめます。
雲仙の国立公園80周年記念の節目に誕生したグルメとして、雲仙ハヤシ、雲仙サラダ、雲仙スムージーの3つを雲仙温泉の新三大グルメと位置づけて2014年頃からPRが進んでいます。
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[店分布] 雲仙市にサラダ約8店舗とスムージー約7店舗
[推奨店] かせやCAFE – 旬野菜スムージーとパンが名物のカフェ
20.雲仙地獄温泉ゆで卵(雲仙市)
雲仙普賢岳の平成新山もある温泉地の雲仙。蒸気を上げる雲仙地獄の観光において、蒸気を利用して茹でた温泉卵が名物のひとつです。
硫黄の香りも軽く漂う、弾力のある白身の卵。
雲仙地獄散策路での販売に加えて雲仙や小浜の旅館や売店でも売られており、パン生地で温泉卵を包んで揚げた「雲仙ばくだん」も。
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[店分布] 雲仙市の温泉街に数店舗
[推奨店] 雲仙地獄工房 – 噴気の熱で茹でる卵を散策路で
21.具雑煮(島原市)
かつおダシと醤油で味付けした汁に、丸い餅と野菜類を入れて煮込んだ島原地方の雑煮(ぞうに)。島原市街の西にある眉山(まゆやま)で採れる山の幸を活用した、島原の郷土食です。
もとは正月や祭事で用意される家庭料理で、現在は1人用の土鍋で煮込んで提供する飲食店が島原城下町周辺にいくつか存在します。
店により具材は様々で、里芋、白菜、しいたけ、ごぼうなどの野菜類が入ります。肉類の具材は焼きアナゴが定番で、ちくわや鶏肉なども入ります。
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[店分布] 島原市に約10店舗
[推奨店] 姫松屋本店 – 具雑煮の名店で和食定食の食事処
22.六兵衛(島原市)
粉末にしたサツマイモと山芋をうどん状にして茹でた麺を、醤油系のダシ汁に入れた麺料理。深江村で六兵衛(ろくべえ)という名前の農民が考案したことが名前の由来です。
1792年に島原市の眉山が崩落して島原一帯に被害を与えた「島原大変」で食糧危機となり、サツマイモを主食にした中で生まれた郷土料理です。
麺だけでなく団子にした「六兵衛団子」「六兵衛まんじゅう」という食べ物もあります。
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[店分布] 島原市に約4店舗、雲仙市に約1店舗
[推奨店] 六兵衛 – 和の居酒屋で六兵衛の麺やまんじゅう
23.かんざらし(島原市)
白玉粉による小さな団子を島原の湧水で冷やし、蜂蜜や砂糖などで作ったシロップをかけた甘味デザート「寒ざらし」。
大寒(1月20日頃)の日に原料の餅米を水にさらして作ったことが名前の由来で、かつては高級品だった蜂蜜や砂糖により客をもてなす用途で作られていたとされます。
甘く上品に口の中で溶ける白玉団子を楽しめる、素朴な郷土の味。島原市の食事処やカフェなどで提供されており、島原城や武家屋敷の散策休憩における定番グルメでもあります。
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[店分布] 県内18店舗ほど
[推奨店] しまばら水屋敷 – 和室でいただく氷抹茶とかんざらし
24.島原手延べそうめん(島原市)
島原半島で今もなお、手で延べて乾燥させて作る伝統のそうめん。南島原市で製造が盛んですが、島原市も5軒の製造元があり飲食店での提供も多い名物です。
瀬戸内海の小豆島などから移住した人々が作り始めたと言われ、その歴史は島原の乱が終わった1600年代とされています。
小麦、塩、綿実油、水(島原の湧水など)を原料として製造し、熟成に1~2日。湿度や小麦粉の性質を見極めて作る、熟練の技が受け継がれています。
島原手延べそうめんはコシの強さが特徴と言われ、煮込みにも強いことから大きな鍋で茹でて醤油と生卵を絡ませて食べる「地獄炊き」で食べるのが地元流。
夏場は冷やしそうめんが定番。「そうめん流し」も現在は2軒まで減りつつも、夏の風物詩として楽しむことができます。
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[店分布] 県内10店舗以上
[推奨店] 匠月 – 和の食事処で器の美しいそうめんと天ぷら
25.そうめん鉢(南島原市)
島原手延べそうめんに南島原市の地元食材を活用して、各店が工夫をこらして作ったそうめん料理が「そうめん鉢」として提供されています。
島原半島の手延べそうめんは、南島原市が製造のメイン。南島原市の有家地方、西有家地方で盛んに作られています。
島原キリシタン文化の花クルスを描いた波佐見焼の器を使用するのも特徴で、盛り付けにもこだわったそうめんを温や冷で楽しむことができます。
創作系のそうめん料理を提供するお店もあり、南島原産の五郎味噌やイカスミなどが絡んだそうめんを食べることもできます。
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[店分布] 県内20店舗ほど
[推奨店] 面喰い – 地獄煮そうめんや手延べラーメンを楽しめる店
26.南蛮コロッケ(南島原市)
長崎はじゃがいもの伝来の地と言われ、南蛮船で島原半島の南端にある口之津港に入ったのが最初だという記録が残っているとか。
現在も全国有数のじゃがいも産地である南島原市では、地元のじゃがいも(馬鈴薯)と地元食材を用いたコロッケを「南蛮コロッケ」として各飲食店で提供しています。
わらじ型、コロコロ丸型など店により形が異なり、具材も各店こだわりで五目コロッケなども。
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[店分布] 県内13店舗ほど
[推奨店] 魚勝 – そうめん鉢と南蛮コロッケのある定食や洋食の店
27.まっかな三兄弟(南島原市)
長崎県の島原半島と熊本県の天草諸島をへだてる「早崎瀬戸」の海流は、日本三大潮流のひとつとして早い流れの中で採れる魚がひとつの売り。
特に赤い見た目のあらかぶ、鯛、伊勢海老を「まっかな三兄弟」と呼んで、南島原市の魚料理として飲食店で提供されています。
あらかぶは「カサゴ」の地域名として山口県から九州にかけて呼ばれる名称で、メバル科カサゴ属の魚。12月から5月頃までが旬とされています。
全長30cmほどで、刺身、煮つけ、唐揚げ、味噌汁などで食べることができます。
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[店分布] 県内10店舗以上
[推奨店] 天海 – あらかぶ煮つけやちゃんぽんなどの食事処
E.県北(彼杵)地域のグルメ
ハウステンボス・西海橋・田平カトリック教会のある県北地域(佐世保・平戸・松浦・西海・佐々・東彼杵・川棚・波佐見)のご当地グルメを紹介。
28.佐世保バーガー(佐世保市)
手作りで注文後に作り始める、佐世保市内のお店で提供されるビッグサイズのハンバーガー。
終戦後の占領期において佐世保の日本軍施設に進駐した米海軍がハンバーガーのレシピを広めたことで、1950年頃から登場したグルメです。
現在では店舗を中心として移動販売もあり、漫画家のやなせたかし氏が描いた「佐世保バーガーボーイ」がマスコットとして用いられています。
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[店分布] 市内20店舗以上
[推奨店] ヒカリ本店 – 昭和26年創業の佐世保バーガー店
29.レモンステーキ(佐世保市)
鉄板に乗せた牛肉に醤油ベースのソースをかけスライスレモンを乗せた佐世保の名物ステーキ。
すき焼き風に薄くスライスした牛肉をレア状態で提供するのが基本ですが、厚切り一枚肉やしっかり焼いて提供するお店も多いです。
日本人向けにボリュームを少なくして夏場でも売れるステーキとして、佐世保のレストラン門が考案したものとされています。
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[店分布] 市内12店舗以上
[推奨店] らんぷ – バーの雰囲気で楽しむレモンステーキ
30.平戸ひらめ(平戸市)
平戸市は全国でも有数の天然ひらめ漁獲量をほこり、志々伎漁協などで漁獲されます。1月末から3月に漁獲されて寒びらめとも呼ばれ、大きいものは座布団サイズにまで成長します。
漁獲時期に「平戸ひらめまつり」と称して宿や飲食店でひらめ料理が提供されて、刺身、茶漬け、丼、寿司など多彩な食べ方が登場。複数人であれば大皿で姿盛りの刺身も楽しめます。
平戸市ではヒラメの陸上養殖も行われており、季節外でも平戸で育ったひらめを提供する飲食店が少なからず存在します。
また、ヒラメ以外の魚として春はヒラマサやあらかぶ、夏はイサキ、秋はカマスやカワハギなどが獲れて、平戸ならではの海鮮丼として色々な魚を楽しめます。
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[店分布] 市内で飲食店13店舗以上、宿6軒以上
[推奨店] 大徳利 – 養殖ひらめ膳を通年楽しめる食事処
31.魚菜来めし、魚島来めし(松浦市)
マグロを筆頭に色々な魚が獲れる、松浦市に属する離島「鷹島」。家庭料理や漁師メシとして魚を色々な食べ方の郷土料理で楽しみ、観光のご当地グルメとしても提供するように。
ひとつは「魚菜来(おなご)めし」は、魚と根菜を混ぜ込んだ栄養満点の混ぜごはん。阿翁浦地区では「サワラがあったら魚飯」と言われ、おにぎりにして食べることもある郷土食。
もうひとつは「魚島来(おとこ)めし」で、漁師の間で「おとこやま」とも呼ばれる丼料理。季節ごとの魚の刺身を3~5種類乗せて、ごま醤油のタレをかけて食べる地魚丼です。
どちらも鷹島の6店舗で提供されており、他にもマグロ丼など海の幸がたくさんです。
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[店分布] 市内6店舗ほど
[推奨店] 味処まつばら – 鷹島の道の駅で楽しむ魚介の丼
32.あじの蒲焼丼、アジフライ(松浦市)
全国最大級のアジの水揚げ量を誇る松浦魚市場がある松浦市。アジフライの聖地として、市内の飲食店でアジフライを楽しめるエリアです。
そして、アジの名物料理が少ないことから、うなぎの蒲焼を参考にして甘辛いタレに付けて焼き上げる「あじの蒲焼丼」を考案。大ぶりで身の締まったアジをふんだんに使用する丼です。
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[店分布] 市内6店舗以上
[推奨店] 味処まつばら – 鷹島の道の駅でアジフライも名物
F.離島のグルメ
五島列島・壱岐島・対馬島のある離島(五島市・新上五島町・小値賀町・壱岐市・対馬市)のご当地グルメを紹介。
33.五島うどん(五島列島)
椿油を塗って熟成させた、細麺ながら強めのコシを持つ「五島うどん」。「五島手延うどん」とも呼ばれ、五島列島で生産されています。
上五島(新上五島町)では乾麺、下五島(五島市)では生麺として製造される傾向にあります。椿油が生地に含まれることから、茹でた後でも伸びにくいのも特徴のひとつ。
温かく透き通ったダシで食べるのが定番で、飛び魚(アゴ)を焼いてからダシをとるのが一般的。島原などでも用いられる「地獄炊き」での食べ方もあります。
遣唐使によって中国大陸の製法が伝えられたという説があり、千年以上の歴史があるとも言われる地元ならではのうどんです。
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[店分布] 五島列島に数十店舗、長崎県内にも提供店多数
[推奨店] 食楽園もだん – 上五島で具材が乗る細麺の五島うどん
34.壱岐牛(壱岐島)
全国和牛能力共進会で受賞されて評価の高い長崎和牛の中でも、壱岐島で育てられる「壱岐牛」は松阪牛などと並ぶ全国屈指のブランド肉です。
島ならではの潮風によって適度な塩分を含む飼料を食べて育つ牛は、ミネラル分が豊富で柔らかい肉質に上品であっさりとした脂の霜降りが特徴。
古くは「壱州牛」と呼ばれて耕作用の使役牛だった歴史が長く、食肉文化が根付いた時代に肉質の良さが注目されて今に至ります。
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[店分布] 壱岐島に数十店舗
[推奨店] 明るい農村 – 景色のいい宿で壱岐牛などの夕食が魅力
35.壱岐焼酎(壱岐島)
壱岐は麦焼酎発祥の地とされており、壱岐市で生産される麦焼酎を「壱岐焼酎」と呼びます。
1995年のWTO(世界貿易機関)にて球磨、琉球、薩摩とともに「壱岐焼酎」が産地指定となり、国際的にブランド保護されており製法と生産地が厳格に決められています。
麹は米麹を使用し、穀類は大麦のみを使用。米麹と麦を1対2の比率で仕込み、壱岐島内の水で仕込んで蒸留されたものが「壱岐焼酎」を名乗れます。
伝来は諸説ありますが、15世紀に朝鮮から蒸留酒の製造技術が伝わったとされます。もともと島で収穫される麦を使用した、自家用の麦焼酎として根付いていたものです。
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[店分布] 壱岐島に60店舗ほど
[推奨店] いけす料理 まる辰 – 壱岐の魚料理と焼酎
36.いりやき(対馬島)
メジナやブリなどの魚、地鶏、野菜を具材として鍋として煮込んで食べる、寄せ鍋の一種として対馬島で通年食べられる「いりやき」。
古くは材料の魚や鶏肉を椿油で炒ってから調理していたことから「いりやき」と命名されたもの(諸説あり)。冠婚葬祭や年中行事で振舞われる、島民の代表的な味覚です。
対馬でとれる素材をたっぷり使用し、海の幸と山の幸から溶け出す旨みあるスープを鍋の味わいとして楽しめます。食べた後の締めとして素麺や蕎麦を入れるのも地元ならでは。
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[店分布] 対馬島内に数店舗ほど
[推奨店] 志まもと – 厳原町の郷土料理店でいりやき鍋を
37.対州そば(対馬島)
粒ぞろいが良くて緑がかった色合いに、風味の良さを特徴とする対馬の蕎麦(そば)の実で作る「対州そば」。大陸(中国など)から伝わった、そば種の原型とも言えます。
つなぎを使用しない十割そばを太めに打つ対州そばは、温かいかけそばでいただくのが定番。じっくりと煮込んだ地鶏のスープで食べる文化が強い名物です。
対馬の郷土鍋「いりやき」の締めにそばを入れるのも対馬ならではの文化で、鍋ではなくいりやきで使用される具材を温そばに乗せた「いりやきそば」もあります。
一般のそば品種との交雑をしないよう取り組まれており、品種改良をせず希少性が高くて収穫量が少ない品種。島外に出回ることがほとんどなく、現地で食べる幻のそばです。
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[店分布] 対馬島内に7店舗ほど
[推奨店] あがたの里 – そば打ち体験施設で食べるいりやきそば
38.対馬とんちゃん(対馬島)
醤油や味噌をベースにした甘辛い焼肉ダレに漬けこんだ豚肉を使用し、もやしやキャベツなどの野菜と一緒に焼いた料理。
戦後に対馬北部(上対馬)で在日韓国人により広められたのがルーツと言われており、地元の精肉店により日本人の口に合うよう工夫されて今の味に至ります。
対馬島の中でも比田勝漁港などのある上対馬島で提供されているグルメです。
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[店分布] 対馬島内に10店舗ほど
[推奨店] ひでよし焼肉居酒屋 – とんちゃんと焼肉を扱う居酒屋
F.その他のグルメ
・雲仙と島原エリアは養豚が盛んで、銘柄豚も様々。雲仙市の雲仙あかね豚、島原市の雲仙スーパーポークなどで、豚丼を提供するお店も少しあります。
・大村市は塩ゆで落花生「ゆでピー」が有名ですが、販売店が浦川豆店だけのようで購入のみで現在は九州産使用の様子。
・長崎市の「ヒカド」は南蛮料理で、ゴボウ、さつまいも、レンコン、大根などを1.5cm前後の角切りにした昆布ダシの醤油味スープで、長崎市の出島内外倶楽部のみ提供の様子。
まとめ
貿易で外国から伝わった料理や菓子の多い長崎県。角煮まんやカステラなど定番のものもあれば、ハトシやヒカドなどの料理まで幅広いです。
全国チェーンのリンガーハットによる功績で全国区の知名度を誇る長崎ちゃんぽんと長崎皿うどんは、専門店、居酒屋、中華街まで沢山のお店で扱われています。
以上、長崎県全般のご当地グルメ特集でした。